ジョン・フローリー(John Frawley)は、1955年5月16日にロンドンで生まれたイギリスの占星術家・著述家・教育者です。17世紀の
ウィリアム・リリーを最大の影響源とする伝統的な西洋占星術を実践し、とくに
ホラリー占星術の教科書『The Horary Textbook』の著者として知られています。
自らの実践を「The Real Astrology」と呼び、同名の著書で近代占星術を批判的に論じたうえで、伝統的な占星術の考え方と技法を紹介しました。現在は自身の講座でホラリーと出生図、エレクションを教えています。
フローリーが伝統的な占星術に転じた1990年代前半は、リリーの『Christian Astrology』が1985年にファクシミリ版で復刻され、イギリスでホラリーの学び直しが進んでいた時期にあたります。
オリヴィア・バークレイの通信講座がその中心の一つで、バークレイのもとからは
スー・ウォードや
J・リー・レーマンなど、のちに伝統派を担う占星術家が出ていました。
フローリー自身は、子どものころから占星術に関心を持ち、近代占星術の諸流派の本を読み進めたものの、その限界に不満を抱き続けたと述べています。英語版の百科事典では、この近代占星術を19世紀の神智学者
アラン・レオに由来するものと位置づけています。
転機は1993年でした。フローリーは勤め先の仕事を通じた偶然の出会いでリリーの著作を知り、リリーが占星術で失せ物を見つけることで評判を得ていたことに強い関心を持ったと語っています。失せ物探しには「だいたい当たり」はなく、見つかるか見つからないかで結果がはっきり確かめられるからです。その後バークレイの講座を受け、伝統的な西洋占星術を専門とする道を選びました。1998年のインタビューでは、その数年前に勤めを辞め、相談業務に専念するようになったと話しています。
フローリーが伝統的な占星術に見いだしたのは、論理の筋道がはっきりしていること、具体的な判断を下せること、その判断を結果で確かめられること、そして占星術を支える宇宙観を備えていることだとされます。リリーには忠実に従うとしつつも、リリーを絶対視するわけではないとも述べています。
活動の場は著述と出版にも広がりました。1996年から2006年にかけて占星術誌『The Astrologer's Apprentice』を自ら編集・発行し、2001年には出版社 Apprentice Books を立ち上げて、以後の著書をここから刊行しています。1990年代後半にはイギリスのテレビにもたびたび出演し、L!VE TV の帯番組『Frawley and the Fish』や『Predictions』などで、スポーツの試合結果などの予測を披露しました。
『The Real Astrology』(2001年)は最初の著書です。近代占星術への批判と、伝統的な占星術の主要な分野の入門をあわせた本で、ホラリー、
エレクション、
ネイタル、
マンデン、医療占星術、気象占星術などの章が並びます。Spica Award の International Book of the Year を受けました。続く『The Real Astrology Applied』(2002年)は、『The Astrologer's Apprentice』などに書いた論考を集めたもので、アンティッション、アラビック・パーツ、レセプションなどを扱います。
『The Horary Textbook』(2005年)は、リリーの規則を実務向けに整理したホラリーの教科書です。2014年には、その後の教育と実践で深めた理解をもとに初版の本文を明確にし、補い、訂正した改訂版が出ており、改訂版はポルトガル語、スペイン語、ドイツ語に訳されています。
『Sports Astrology』(2007年)は、師匠と弟子の対話という形で60を超えるチャートを読み解きながら、ホラリー、イベントチャート、競馬、利益の問いといった予測の方法を説く本です。
公式サイトによれば、フローリーの著書はポーランド語、ギリシア語、スペイン語、ロシア語、ハンガリー語、セルビア語、ドイツ語で出版されています。
フローリーは長年、自身の講座で伝統的な占星術を教えてきました。現在の講座には、ホラリーの基本課程 Horary Apprenticeship、出生図とエレクションを学ぶ Apprenticeship in Natal & Electional Astrology、修了生向けの実践課程 Horary Practice、短期の入門課程 Horary Lite があり、恒星のワークショップも提供しています。受講生とともに、ホラリーの判断を段階を追って解説する事例集『Horary Examples』もまとめられています。
本事典の
ホラリーの技法ページでも触れているとおり、『The Horary Textbook』は現代のホラリー入門でよく使われる教科書の一つです。
フローリーを知ることは、近代占星術と伝統的な占星術の前提の違いを考える手がかりになります。
心理占星術と予測占星術を比べたコラムで両者の違いを押さえ、
『Christian Astrology』の解説でリリーの位置づけを確かめてから『The Real Astrology』と『The Horary Textbook』を読むと、フローリーが何を受け継ぎ、何を整理し直したのかが見えてきます。バークレイの講座から出た占星術家たちとのつながりは、
現代占星術家マップで確かめられます。