ロイス・ロッデンとは
ロイス・ロッデン(Lois Rodden、本名 Lois Mae Fast、1928年5月22日〜2003年6月5日)は、出生データの収集と検証に生涯を捧げたアメリカの占星術家・データ研究者です。カナダのサスカチュワン州ラングに生まれ、のちにロサンゼルスへ移り、1960年代初頭に「Church of Light(光の教会)」で占星術を学び始めました。彼女が占星術界に残した最大の足跡は、著名人の出生時刻と出典をひとつひとつ突き合わせ、検証可能な形で蓄積するという地道な仕事を、占星術研究の土台に据えたことです。40年あまりをかけて数万件のデータを集め、後に「Astro-Databank」として知られる一大資料体系をつくり上げました。1992年には全米占星術会議(UAC)からレグルス賞を受けています。
功績と理論
ロッデンの最大の功績は、出生時刻の信頼度を等級で示す「ロッデン・レーティング(Rodden Rating)」を考案したことです。出生証明書に基づくものを「AA」、本人や家族・友人からの情報を「A」、伝記由来を「B」、要注意を「C」、信頼性の低い情報を「DD(dirty data)」、時刻不明の日付のみを「X」と分類し、占星術家がどの出典に依拠しているかを明示できるようにしました。この枠組みは、占星術の議論を「印象」から「検証可能な記録」へと近づけるもので、今日でも世界中のデータベースや研究で標準的に用いられています。出典への説明責任を占星術家に求めた姿勢は、現代占星術の研究文化に大きな影響を残しました。
代表的な著作
ロッデンは1979年に処女作『Profiles of Women』を米国占星術家連盟(AFA)から刊行し、500人を超える女性のチャートを出典付きで提示しました。同書は後に増補改訂され(1996年)、続く「Astro-Data」シリーズとして『The American Book of Charts』(第II巻)、オカルト・一般を扱う第III巻、文化人を扱う第IV巻、そして犯罪事例を集めた『Profiles of Crime』(第V巻、1992年)へと展開しました。いずれもチャート図・簡潔な経歴・正確な出典・時刻の相違の根拠・自身の評価記号を備えています。晩年にはプログラマーのマーク・マクドノーと協力し、これらの蓄積をデジタルの「AstroDatabank」へと結実させました。
この人物を知る意義
ロイス・ロッデンを知る意義は、占星術が「どのデータに基づいて語られているか」を問い続けた人物がいたと分かる点にあります。彼女は、解釈の前にまず出典の確かさを問うという研究者の態度を、占星術の世界に持ち込みました。本サイトが事実の裏取りを重んじるのも、こうしたロッデンの精神に連なるものです。占星術は運命を言い当てるものではなく、検証された記録を手がかりに自分や時代を見つめ直すための地図として、落ち着いて向き合う価値があります。