マイケル・マンカシー(Michael Munkasey)は、1938年にアメリカ・コネチカット州ブリッジポートで生まれた占星術家です。工学を学び、医療と運輸の業界でコンピューター情報科学者として30年以上働いたのち、実践者向けの体系的な参照書を編む書き手として知られるようになりました。代表作は、天体どうしの中間点を解説した『Midpoints: Unleashing the Power of the Planets』(1991年)と、ハウスのキーワードを集めた『The Astrological Thesaurus, Book One: House Keywords』です。
出版社の著者紹介によれば、占星術を学び始めたのは1969年です。アメリカの主要な占星術団体の資格をそろえており、2015年の NCGR の機関誌では、NCGR のレベルIV、ISAR の CAP、アメリカ占星術連盟(AFA)の PMAFA という肩書きで紹介されています。
マンカシーの仕事の中心は、占星術の構成要素を言葉に置き換えるための道具立てを整えることにあります。2015年に NCGR の機関誌『The Geocosmic Journal』に寄せた論考「Toward a Definition of Astrology」では、占星術を一つの言語にたとえ、英語の文法に名詞・形容詞・動詞があるように、占星術にも天体やサインといった要素があり、天体は名詞・形容詞・副詞として描き分けられると述べています。そのうえで、この考え方の詳しい説明は自著『The Astrological Thesaurus』に譲るとしています。
同じ論考でマンカシーは、占星術とは何か、占星術家とは誰か、チャートとは何かを定義する必要を説き、占星術家とは道具の定義・用い方・限界を理解し、経験にもとづいてチャートを解釈できる人だという定義案を示しました。さらに、医療占星術家やネイタル占星術家のように専門分野を名乗ることを提案し、こうした定義づけを占星術の共同体全体の議論として始めたいと結んでいます。
キーワード集に対する本人の立場も明確です。書評によれば、マンカシーはサインのキーワード集の序文で、キーワードは解釈そのものではないと断っています。キーワードは、チャートの象徴を日常の言葉に置き換えるための語彙の蓄えであり、読みの結論を与えるものではないという位置づけです。
『Midpoints: Unleashing the Power of the Planets』は、1991年に ACS Publications から刊行されたミッドポイントの参照書です。天体どうしの
ミッドポイントに加え、天体とMC・ASC・月のノードとの中間点も扱っています。2018年には、初版の形式を保ちながら解釈文を更新した版(410頁)が同じ版元から出ました。本事典の
ミッドポイント解説(木星/ASC など)の一部も、この本を参考文献に挙げています。
『The Astrological Thesaurus, Book One: House Keywords』は、Llewellyn から1990年代初めに出たハウスのキーワード辞典です。ハウスのキーワードについては、のちにアメリカ占星術連盟から『House Keywords and More...』(404頁)も出ています。こちらは各ハウスのキーワードを分類ごとに並べた大部の参照書で、導入部では占星術の文法、四分円と半球、
ハウス・システムの選び方などを扱っています。さらにその続編として、サインのキーワードを名詞・形容詞の両面から整理した『Astrological Keywords: Signs of the Zodiac』も同じ版元から出ています。
マンカシーは、アメリカの占星術団体 NCGR(National Council for Geocosmic Research)で22年にわたって理事を務め、書記(Clerk)と研究部長(Research Director)を担当しました。NCGR の最初の規約と憲章を起草したのもマンカシーで、現在も同会の公式サイトの Advisory Board に名前が載っています。
出版社の著者紹介は、マンカシーを占星術の教育機関 Kepler College の創設メンバーの一人とし、2008年に UAC の Regulus 賞を受けたことも記しています。
マンカシーの仕事は、新しい技法を提案するものではなく、すでにある技法を使うための語彙と参照の枠組みを整えるものです。ミッドポイントを学ぶ人にとっては、
ミッドポイントの技法を押さえたうえで、『Midpoints』を組み合わせごとの参照に使うのが現実的な読み方です。ミッドポイントの系譜をたどるなら、
ラインホルト・エバーティンの
『星々の影響の組み合わせ』と並べて読むと、同じ組み合わせへの言葉の与え方の違いが見えてきます。
ハウスやサインのキーワード集は、通読する本というより、チャートを読むときに語彙を探す辞書として手元に置く使い方が向いています。人物どうしの位置関係は
現代占星術家マップでも確かめられます。