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ニコラス・キャンピオン
Nicholas Campion・占星術史研究(現代・英)
分類
占星術家
系統
占星術史研究(現代・英)
この記事の内容: 人物像功績と理論代表的な著作
ニコラス・キャンピオンとは
ニコラス・キャンピオン(Nicholas Campion)は、1953年3月4日に英国ブリストルで生まれた占星術史家・文化天文学の研究者です。ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで歴史学の学士号(1975年)、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で東南アジア研究の修士号(1976年)を取得し、2004年にバース・スパ大学で宗教学の博士号を得ました。現在はウェールズ大学トリニティ・セント・デイヴィッド校(UWTSD)で宇宙論と文化を担当する准教授を務め、天空と文化の関わりを研究するソフィア・センターの所長として、文化天文学と占星術の修士課程を率いています。 大学に籍を置く以前から、英国の占星術界の中心で活動してきた人物でもあります。1985〜1987年にロンドン占星術ロッジ(Astrological Lodge of London)の代表、1994〜1999年に英国占星術協会(Astrological Association of Great Britain)の会長を務めました。英国の新聞『Daily Mail』の占星術担当を、前任のジョン・ネイラーから引き継いだ経歴もあります。実践の現場と学術研究の両方を知る立場から、占星術を文化史の対象として記述してきた点に、キャンピオンの仕事の特色があります。
ニコラス・キャンピオンが生きた時代
キャンピオンが占星術の団体を率いた1980〜90年代を経て、2000年代には大学で占星術を研究・教育する場が生まれます。2002年、バース・スパ大学の歴史文化研究科にソフィア・センターが設けられ、文化天文学を教える世界で初めての大学の研究拠点と位置づけられました。同じ年に始まった文化天文学と占星術の修士課程では、キャンピオンがパトリック・カリーとともに講師を務めています。センターは2008年にウェールズ大学ランピター校へ移り、現在のUWTSDに引き継がれました。2009年の時点では、遠隔教育で学べるこの修士課程の必修科目を、キャンピオン、リズ・グリーン、バーナデット・ブレイディの3人が担当していました。占星術家として名の知られた人々が、大学の教員として歴史や文化の視点から占星術を教える体制が、この時期に形になったわけです。
功績と理論
キャンピオンの最大の功績は、西洋占星術の歩みを、宗教・魔術・科学・政治・芸術との関わりのなかで捉え直す通史を書いたことです。2009年に刊行された『A History of Western Astrology』は2巻構成で、第1巻『The Ancient and Classical Worlds』は旧石器時代の月の満ち欠けの記録から古典古代の終わりとキリスト教の興隆までを扱います。この巻では、占星術はギリシア人が発明したものだという通説を、メソポタミア・エジプト・聖書・ギリシア・ローマの資料に照らして検討しています。第2巻『The Medieval and Modern Worlds』は、5世紀に古典期の占星術が衰退してから20世紀のウェブ上の大衆的な占星術までをたどり、占星術が栄えたのは12世紀から17世紀だけだったという従来の見方に異を唱えています。 それに先立つ1994年の『The Great Year』(副題は「西洋の伝統における占星術・千年王国思想・歴史」)では、時代の周期をめぐる占星術的な発想と、終末や新時代を待望する千年王国思想との関わりを、西洋史の長い流れのなかで論じました。 実践面では、国家や集団を扱うマンデン占星術の文献を整えた功績があります。1984年にマイケル・ベイジェント、チャールズ・ハーヴェイと共著した『Mundane Astrology』は、政治・経済・国際情勢の分析に占星術を用いる方法を論じたものです。単著の『The Book of World Horoscopes』は、各国の建国などの出来事のチャートを500近く集めた資料集で、2004年にThe Wessex Astrologerから改訂増補版が出ています。 研究の場づくりにも力を注いできました。1997年に査読つき学術誌『Culture and Cosmos』を創刊し、現在はこの誌を刊行するソフィア・センター出版(Sophia Centre Press)の編集責任者を務めています。
代表的な著作
占星術史の分野では、初期の『An Introduction to the History of Astrology』(1982年)から始まり、『The Great Year』(1994年)、『Cosmos: A Cultural History of Astrology』(2001年)、そして2巻本の『A History of Western Astrology』(2009年)へと仕事を積み重ねてきました。このうち第2巻は、鏡リュウジ氏の監訳、宇佐和通氏・水野友美子氏の訳で『世界史と西洋占星術』(柏書房、2012年)として日本語で読めます。 現代の占星術を宗教学の視点から扱った著作には、『What Do Astrologers Believe?』(2006年)、『Astrology and Cosmology in the World's Religions』(2012年)、『Astrology and Popular Religion in the Modern West』(2012年)、『The New Age in the Modern West』(2015年)があります。 編著も多く、カリーとの『Sky and Psyche』(2006年)、リズ・グリーンとの『Sky and Symbol』(2013年)、ドリアン・ギーゼラー・グリーンバウムとの『Astrology in Time and Place』(2016年)など、ソフィア・センターの研究成果をまとめた論集を送り出しています。
同時代・後世への影響
キャンピオンの仕事は、多くの共同作業を通じて広がってきました。マンデン占星術ではハーヴェイ、ベイジェントとの共著があり、大学ではカリー、グリーン、ブレイディらと修士課程を担ってきました。学術誌と論集は、占星術を研究する歴史家・人類学者・宗教学者と、実践する占星術家が同じ場で議論する媒体になっています。 その活動は占星術界からも評価されており、マルク・エドモンド・ジョーンズ賞(1992年)、チャールズ・ハーヴェイ賞(2002年)などを受けています。2022年には欧州文化天文学会(SEAC)からカルロス・ヤシェック賞を受けました。 日本では『世界史と西洋占星術』の翻訳によって、5世紀から20世紀までの西洋占星術の歩みを文化史として通読できるようになりました。本事典の系譜コラム(現代占星術の系譜など)も、彼の『A History of Western Astrology』を参考文献に挙げています。
ニコラス・キャンピオンを知る意義/学び方
キャンピオンを知る意義は、占星術を「当たるかどうか」とは別の軸、すなわち人々が天空をどのように意味づけてきたかという文化の歴史として眺める視点が得られることにあります。占星術家として団体を率いた経験を持ちながら、研究者として距離を取って記述する姿勢は、実践者が自分の拠って立つ伝統を見直すときの手がかりになります。 日本語で読むなら、まず『世界史と西洋占星術』から入るのが近道です。古代の起源に関心があれば英語の第1巻を、国家や社会の動きを読む占星術に関心があれば『Mundane Astrology』や『The Book of World Horoscopes』を手に取るとよいでしょう。バビロニアの占星術や近代西洋の占星術の解説とあわせて読むと、通史のなかの位置づけがつかみやすくなります。人物どうしのつながりは現代占星術家マップでも確かめられます。
現代占星術家マップ
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参考文献:Wikipedia「Nicholas Campion」(https://en.wikipedia.org/wiki/Nicholas_Campion) / University of Wales Trinity Saint David 教員紹介「Nicholas Campion」(https://www.uwtsd.ac.uk/index%2ephp/staff/nicholas-campion) / Wikipedia「The Sophia Centre」(https://en.wikipedia.org/wiki/The_Sophia_Centre) / Sophia Centre Press「A History of Western Astrology Volume I」(https://sophiacentrepress.com/related-pubs/a-history-of-western-astrology-volume-i/) / Sophia Centre Press「A History of Western Astrology Volume II」(https://sophiacentrepress.com/related-pubs/a-history-of-western-astrology-volume-ii/) / Skyscript 書評「The Book of World Horoscopes」(Deborah Houlding, 2004)(https://www.skyscript.co.uk/bowh_rev.html) / Skyscript インタビュー「Patrick Curry」(Garry Phillipson, 2025)(https://www.skyscript.co.uk/curry.html) / CPA「Mundane Astrology」紹介ページ(https://cpalondon.com/?p=1605) / ESSWE 告知「MA in Cultural Astronomy and Astrology 集中講座」(2009)(https://www.esswe.org/event-1847366) / 国立国会図書館サーチ『世界史と西洋占星術』(柏書房、2012)(https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I023833442)
監修:編集部(占星術担当)最終更新 2026-10-16
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