デレク・アップルビー(Derek Appleby, 1937年2月7日 - 1995年1月19日)は、イギリスの占星術家・教師です。イングランド南西部のペイントンに生まれました。1970年代の英国で
ホラリー占星術を復興させた中心人物の一人です。同僚だった
マギー・ハイドの回想を載せた占星術サイト Skyscript の紹介文は、英国のホラリーの復興は主にアップルビーによるものだったとしています。
ロンドンのアストロロジカル・ロッジ(Astrological Lodge of London)の会員で、会長も務めました。1983年には、
ジェフリー・コーネリアス、マギー・ハイド、ゴードン・ワトソンとともに、カンパニー・オブ・アストロロジャーズ(The Company of Astrologers)を創設しています。1995年1月19日、心臓発作で急逝しました。
アップルビーが活動した1970年代から1990年代前半の英国では、17世紀の
ウィリアム・リリーに代表される古典的なホラリーを、実際の質問に答える技法として学び直す動きが起こっていました。追悼記事によれば、アップルビーは1970年代に古い
『Christian Astrology』を手に入れ、それを手がかりにロンドンで伝統的な占星術を復活させたとされます。
ハイドの回想では、彼女がアップルビーに初めて会った1976年ごろ、彼はすでにロンドンの成人教育機関でホラリーの上級クラスを教えていました。その仕事は成人教育の仲間やアストロロジカル・ロッジの同僚に刺激を与え、初期にはコーネリアスが彼の実践的な占星術を強く後押ししました。ハイドは、この二人が英国のホラリー復興を担ったと述べています。一方、同時代の占星術家モーリス・マッキャンは1998年のインタビューで、アップルビーはロンドンの外に住んでいて、ふだんは教えるというより、ロッジでときおり講演をする程度だったと回想しています。
アップルビーの仕事の中心は、ホラリーの判断を実際に書いて示すことでした。ハイドによれば、彼は書面での判断を好み、世界各地の占星術家と手紙をやりとりしていました。一つの象徴に考えられる複数の解釈を切り分け、一つの読みをはっきりと打ち出す点に彼の才能があったとハイドは評しています。自己宣伝を好まなかったため英国の外では名前が知られにくかった一方、ロシア、デンマーク、アイルランドに影響が及んだとも書いています。
ホラリーへの関心の始まりについて、ハイドは次の話を伝えています。誰かが指輪をなくしたとき、アップルビーが初めて立てたホラリーの図ではアセンダントが天秤座で、彼は「台所のはかりに置き忘れたのでは」と答え、それが当たっていたというものです。
ホラリー以外では、受胎の時点の図と出生図を対応させるプリネイタル・エポックの考え方を試し、受講生のために長い時間をかけて出生時刻の
修正(レクティフィケーション)を行いました。追悼記事やオランダ語版ウィキペディアは、政治・
マンデンの占星術についても講演や執筆を行ったと伝えています。
主著は『Horary Astrology: An Introduction to the Astrology of Time』で、1985年に英国のアクエリアン・プレス(Aquarian Press)から刊行され、1986年には米国のボーゴ・プレスからも出ました。オランダ語版ウィキペディアによれば、最初の9章でホラリーの規則を説明し、本の半分以上を、依頼者から実際に寄せられた質問の判断例にあてています。2005年には米国の Astrology Classics から『Horary Astrology, the Art of Astrological Divination』として再刊され、コーネリアスが新しい序文を寄せました。スペイン語訳『Astrología horaria』(2001年)なども出ています。
もう一冊は、モーリス・マッキャンとの共著『Eclipses: The Powerpoints of Astrology』(アクエリアン、1989年)で、
日食・月食を主題にしています。マッキャンは、アップルビーと知り合ったのは
オリヴィア・バークレイの紹介によるものだったと語っています。
アップルビーの影響は、とくにカンパニー・オブ・アストロロジャーズを通じて残りました。ハイドは、自分が出生図を扱う前にまずアップルビーからホラリーを学んだと書いています。晩年には活発な講座のプログラムを持ち、多くの受講生がいました。ハイドは、彼の急逝をカンパニーの歴史で最も暗い出来事だったと記しています。
追悼記事によれば、アップルビーの占星術関係の資料は、死後、長年ともに活動したハイドとコーネリアスに託されました。アップルビーの主著は、没後10年にあたる2005年、占星術の解釈をディヴィネーションとして扱う立場をとるカンパニーの創設メンバーであるコーネリアスが序文を寄せる形で再刊されました。
アップルビーを知る意義は、20世紀後半の古典占星術の復興が、翻訳や研究だけでなく、成人教育の教室やロッジでの実践、そして書面で示されたホラリーの判断の積み重ねから始まったことを理解できる点にあります。学ぶなら、2005年の再刊版『Horary Astrology』で実例の判断を読み、リリーの『Christian Astrology』と照らし合わせるのが近道です。コーネリアスやハイドの記事、
現代占星術家マップとあわせて読むと、英国のホラリー復興の人のつながりが見えてきます。
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