エリン・サリヴァン(Erin Sullivan)は、カナダ生まれの占星術家・講師・著述家です。書誌データベースのLibraryThingでは1947年生まれとされています。CPAの著者紹介によれば、1960年代の終わりからコンサルタント占星術家・講師として活動してきました。神話・心理学・占星術を重ね合わせて人間の成長を考えるワークショップやシンポジウムを、各国で行ってきました。
1989年に仕事の拠点をロンドンへ移し、
リズ・グリーンらの心理占星術センター(The Centre for Psychological Astrology、CPA)の講師となりました。ロンドン時代には、ペンギン社のアルカナ・レーベルで刊行された「Contemporary Astrology」シリーズの編者も務めています。著作は
土星のトランジット、
逆行惑星、家族の力学、中年期と加齢など、人生の時間と関係を扱うものが中心です。
CPAの紹介によれば、サリヴァンはカナダのバンクーバーとビクトリアで暮らした時期があり、ブリティッシュコロンビア州のコールド・マウンテン研究所(現在のHollyhock)やP.D. Seminarsで、「The Gods Within」「In Midlife」といったリトリート形式のワークショップを開いていました。1980年代には、コールド・マウンテン研究所のNew Horizonsプログラムで常駐の占星術家を務めています。
その後、1989年にロンドンへ移ってCPAで教えるようになります。CPAは深層心理学・人間性心理学・トランスパーソナル心理学と占星術を結びつけることを掲げた教育機関です。最初の単著『Saturn in Transit』が出た1991年は、このロンドン時代にあたります。
ロンドンのあとは長くアリゾナで暮らし、CPAの紹介文の時点ではニューメキシコ州タオスで執筆、個人セッション、講義、少人数のクラスや指導グループを続けていると記されています。同じ紹介文では、カナダ作家協会(The Writers' Union of Canada)の会員ともされています。
サリヴァンの仕事の特徴は、ギリシア神話と深層心理学を手がかりに、天体の動きを人生の発達のプロセスとして読むことです。
『Saturn in Transit』は、陰うつな天体と見られがちな土星を、発達をうながす力として描き直した本です。内容紹介によれば、土星はトランジットで黄道を一巡するあいだに古くなったものを取り払い、ときに混乱をもたらしながら、人生の目的を創造的に変えていくきっかけになるとされます。古典神話からは、偉大な芸術や理解への欲求を生む「神聖な不満」の源としての土星を引き出し、C・G・ユングやジョーゼフ・キャンベルの議論を参照しながら、占星術の象徴を個人と集合の無意識に結びつけています。土星の周期的な節目については
サターン・リターンのコラムも参考になります。
『Retrograde Planets』では、地球から見た見かけの逆行を、太陽と惑星からなる系全体の視点から整理しました。逆行の歴史、逆行に対する考え方、逆行運動の全体的な議論の3部からなり、天体ごとに、出生図・
進行・
トランジットそれぞれでの逆行の読み方を論じています。
家族を一つのつながった全体として捉える仕事もあります。『Dynasty』では、活動・不動・柔軟の三区分とエレメントが家族の力学にどう表れるか、家族のなかで繰り返されるテーマを天体の配置やアスペクトからどうたどるかを扱い、4・8・12ハウスを祖先から受け継ぐ基盤として論じました。
場所の技法にも取り組みました。CPAの書籍紹介に載る1999年の書評によれば、サリヴァンは長年
ジム・ルイスと緊密に仕事をしてきました。CPAの紹介文によれば、1999年9月にはジム・ルイスの財団(Jim Lewis Trust)とContinuumの専門資格認定のトレーナーに就きました。ルイスが始めた
アストロカートグラフィとリロケーション・チャートについての講義録も出しています。
『Saturn in Transit: Boundaries of Mind, Body and Soul』(アルカナ、1991年)は最初の単著で、のちにWeiser Booksからも刊行されました。改訂版には「The Transit of Saturn to the Planets」という章が加えられています。
『Retrograde Planets: Traversing the Inner Landscape』(アルカナ、1992年)は、逆行惑星を体系的に論じた本で、こちらものちにWeiser Booksから刊行されています。
『Dynasty: The Astrology of Family Dynamics』(アルカナ、1996年)は家族の占星術を扱った本です。のちに『The Astrology of Family Dynamics』の題で再刊されました。
『Astrology of Midlife and Aging』(Tarcher、2005年)は、中年期を衰えではなく、それまでの人生を見直し次の段階を築く時期として捉える本です。内容紹介によれば、ユングの「生きられなかった人生」の考え方を手がかりに、おおむね37歳から41歳の時期を
天王星と結びつけて論じています。
CPAプレスからは、セミナーの記録として『Venus and Jupiter: Bridging the Ideal and the Real』と『Where in the World? Astro*Carto*Graphy and Relocation Charts』が出ています。前者はリージェンツ・カレッジで行われた金星と木星の2つのセミナーを収め、女神アフロディーテの二面性や、ゼウスの正義と良心の問題を論じています。後者は1日のワークショップの記録で、アストロカートグラフィの線の東西、緯度、進行とトランジット、食、リロケーション・チャートまでを扱います。
ほかに、Llewellyn社の論集『The Planets』に章「Hermes: Trickster, Teacher, Theos」を寄せ、2000年からはStar IQに記事を書いていました。3巻の教材ビデオ『Astrology, Mythology and the Psyche』もあります。
サリヴァンは、ロンドンのCPAの講師であると同時に、アルカナの「Contemporary Astrology」シリーズの編者として、英語圏の心理占星術の出版にも関わりました。CPAの講師陣との関係は、
現代占星術家マップでたどることができます。
また、心理占星術の流れに立ちながら、トランジット・進行・リロケーションといった時期と場所の技法を扱ってきた点も特徴です。アストロカートグラフィの分野では、創始者のジム・ルイスと長年緊密に仕事をし、その財団の認定トレーナーにも就きました。
サリヴァンの著作は、土星のトランジットや逆行惑星のように、出生図の解釈で避けて通れないテーマを、神話と心理学の両方から掘り下げています。土星の動きを人生の節目として読みたい人には『Saturn in Transit』が、逆行惑星の多いチャートを読み解きたい人には『Retrograde Planets』と事典の
逆行天体が多いチャートのコラムが手がかりになります。
場所の占星術に関心があれば、『Where in the World?』と
アストロカートグラフィのコラムをあわせて読むと、技法の全体像がつかみやすくなります。