ホーム事典占星術家 > リズ・グリーン
リズ・グリーン
Liz Greene・心理占星術(ユング派)
分類
占星術家
系統
心理占星術(ユング派)
この記事の内容: 人物像功績と理論代表的な著作
リズ・グリーンとは
リズ・グリーン(Liz Greene、1946年9月4日生まれ)は、占星術と深層心理学を橋渡しした現代心理占星術の第一人者です。米ニュージャージー州エングルウッドに生まれた英米の占星術家・作家で、心理学の博士号を持つユング派分析家でもあります。英ブリストル大学から歴史学の博士号も授与されたとされています。 グリーンが際立っているのは、占星術家と心理学者という二つの立場を同時に担った点にあります。ユング派の分析家として深層心理学の訓練を正式に受けていたことが、彼女の著作と教育に、占星術の実践家にとどまらない深みをもたらしました。心理学の専門的な訓練を受けた占星術家は珍しく、グリーンが星の象徴を「人の心の構造」として語る説得力の背景には、この二重の専門性があります。 グリーンの占星術の特徴は、ユング心理学の元型(アーキタイプ)の視点からチャートを読み解く点にあります。たとえば土星を単なる「凶星」としてではなく、心の境界をつくる必要な働きとして捉え直すアプローチは、彼女を通じて占星術の世界に広まりました。天体の配置を「外から降ってくる運命」ではなく、本人の内面で働く心理的なプロセスとして読む姿勢が、著作と教育を通じて定着しています。20世紀を代表する占星術家の一人として、深く尊敬を集めています。
リズ・グリーンが生きた時代
グリーンが活動を始めた1970年代は、欧米の占星術が大きな転換期を迎えていた時代です。デーン・ルディアが著書「人格の占星術」において、占星術を予測の技術としてではなく人間性の全体的な理解のための道具として捉え直すという発想を打ち出していたことが、その土台にありました。ルディアはユング心理学の「個性化(individuation)」の概念を占星術に持ち込み、チャートを魂の青写真として読む視点を確立していました。 1960年代から70年代にかけては、グラント・ルウィやリンダ・グッドマンの著作が大衆向け市場を広げるなかで、占星術を自己理解に活かしたいという読者層も育っていました。英国では、英国占星術連盟(FAS)がチャールズ・カーターやマーガレット・ホーンのもとで教育の体系化を進めており、占星術を正式に学べる環境が整いつつありました。 グリーンはこうした流れのなかで登場し、ルディアが方向を指し示したユング占星術の実践を、本格的な深層心理学の訓練を持つ立場から具体的な著作と教育に結実させていきました。1970年代から80年代にかけては、スティーブン・アロヨもアメリカで「4元素の占星術」を通じて同じ方向を追求しており、心理占星術は欧米の複数の拠点で同時並行的に深められていた時代でもありました。グリーンが1976年に最初の主著を世に出した時代は、占星術が「予言の道具」から「内省の道具」へと転換しようとしていた、ちょうどその転換点にあたります。
功績と理論
グリーンの功績は、占星術をユング心理学の枠組みで再構築し、天体を心の「元型」として語る道を切り開いたことです。彼女は1983年、ハワード・サスポータスとともにロンドンに「心理占星術センター(Centre for Psychological Astrology, CPA)」を共同設立し、心理占星術を体系的に教える場を整えました。 グリーンの理論の核心は、ユング心理学の「元型(アーキタイプ)」という概念を惑星の象徴に対応させることで、星の配置を内面の心理的なパターンとして読む枠組みを確立した点にあります。たとえば土星は「超自我」や「境界を設ける機能」と対応し、冥王星は「無意識の深層に潜む変容の衝動」と対応するという読み方がその典型です。このように天体を心理的な機能として捉える視点は、チャートを通じた自己洞察という実践の軸になっています。 惑星の配置を本人の内面で働く心理的なプロセスとして読む姿勢は、チャートを通じた自己理解という実践の中心的な視点となっています。占星術を内省と自己理解のための象徴体系として位置づけ直した点で、グリーンの貢献は心理占星術という分野の確立そのものと深く結びついています。CPAを通じた教育活動は、英国をはじめとする英語圏の多くの占星術家に直接影響を与え、心理占星術の実践と教育の両面で基準を作る役割を果たしました。
代表的な著作
最初の主著『Saturn: A New Look at an Old Devil』(1976年)は、占星術の中で長く「凶星(不吉な星)」とされてきた土星を、心理学の視点から捉え直した一冊です。原題を直訳すると「土星:古い悪魔への新しいまなざし」。タイトルどおり、土星を「人を罰する星」ではなく「人を成熟させる星」として読み替えたところに本書の核心があります。日本語版は『サターン 土星の心理占星学』(青土社・鏡リュウジ訳)として読み継がれています。 本書が扱うのは、土星が象徴する「制限・責任・恐れ・試練」といったテーマです。グリーンは、こうした重く感じられる要素こそ、その人がもっとも傷つきやすい場所であると同時に、向き合うことで自己を深く知り、本当の強さを育てる鍵になると論じます。土星を「良い/悪い」で割り切らず、人の内面で果たす役割として読み解く姿勢が、本書を単なる解説書以上のものにしています。 ほかにも『The Astrology of Fate』では、ホロスコープとギリシア神話・深層心理学を結びつける解釈の枠組みを示しました。ギリシア神話の神々と惑星の象徴を対応させ、チャートを個人の神話として読む視点は、心理占星術の実践に詩的な広がりをもたらすものでした。これらの著作は、占星術を心理的な深みをもって読むための入口として、今も読み継がれています。
同時代・後世への影響
グリーンが1983年にハワード・サスポータスとともに設立したCPA(心理占星術センター)は、心理占星術の教育拠点として機能しました。サスポータスは著書「12のハウス」で各ハウスを心理学的なテーマと深く結びつけて論じ、グリーンとの共著も複数刊行しています。1992年に44歳で世を去った後も、残した著作は心理占星術の基本文献として参照され続けています。 グリーンの著作は、英語圏にとどまらず翻訳を通じて広がりました。日本でも『サターン』の邦訳が読み継がれており、「心理学的な星の読み方」を日本語で学べる環境の一端をグリーンの著作が支えてきました。ルディアが哲学的に方向を示し、グリーンが具体的な著作と教育機関で実践を確立するという流れは、現代占星術の系譜の中でも重要な節目として位置づけられます。 また、ロバート・ハンドスティーブン・フォレストなど、心理占星術の文脈で活動した同世代・後続世代の占星術家たちと並んで、グリーンは20世紀後半の英語圏占星術の思想的な骨格を形成した人物の一人として数えられています。
現代占星術における意義
グリーンの著作と教育が現代占星術に対してもたらした最大の変化は、「星は運命を決めつけるものではなく、自己理解の手がかりである」という視点を実践的な言語で提示した点にあります。土星という一つの天体を入口に、チャートの読み方そのものの前提を塗り替えたことが、後続の多くの占星術家の出発点となりました。 心理占星術の系譜という大きな文脈に置いたとき、グリーンの位置づけは明確です。デーン・ルディアが「人間性占星術」の方向を打ち出し、CPAの設立によってグリーンがその実践を教育の場に定着させることで、心理占星術は個人の思想にとどまらない体系を持つことができました。 現代においても、チャートを「外から決まる運命」としてではなく「内なる構造を読む地図」として捉えるアプローチは、占星術相談の現場や独学の実践者にとって広く共有される視点となっています。この視点のルーツをたどると、グリーンの著作に行き着くことが少なくありません。グリーン以降の占星術家たちが「心の地図としてのホロスコープ」という言葉を使うとき、その背景にはグリーンが著作と教育を通じて打ち立てた実践の枠組みがあります。土星への向き合い方、惑星を元型として読む姿勢、神話と心理学を星の言語に接続する視点、これらはいずれも現代の心理占星術の共有財産となっており、グリーンの遺産はその中に静かに生き続けています。
リズ・グリーンを知る意義・学び方
リズ・グリーンを知る意義は、土星のような「凶星」を、罰ではなく成熟をうながす働きとして読み替えた転換が、彼女から広まったと分かる点にあります。困難や制限を、避けるべき災いではなく成長の課題として捉え直すこの見方は、占星術を自己理解に活かす核心です。 繰り返しうまくいかない分野、苦手な状況、容易には変えられない条件、これらをチャートの上で土星のテーマとして読み、「なぜそこが自分の課題なのか」を問い直す視点は、自己理解を深める実践的な入口となります。グリーンが示したのは、チャートを「自分に何が起きるか」の予言書としてではなく、「自分の内側にどのような構造があるか」を照らす道具として使う姿勢であり、この転換は占星術の使い方を根本から変えるものです。 学び方としては、まず「サターン」を読むことが最初の入口になります。土星という一天体を通じて心理占星術の基本的な見方が示されており、占星術をはじめて心理的な深みをもって読みたいと思う人にとって、具体的な出発点となります。本書は初心者から実践者まで、幅広い読者に参照されてきた一冊であり、日本語版『サターン 土星の心理占星学』(青土社・鏡リュウジ訳)で読むことができます。その後、ハワード・サスポータス「12のハウス」スティーブン・アロヨ「4元素の占星術」へと読み進めることで、心理占星術の体系をより広く把握できます。 占星術は試練を取り除くものではなく、自分の課題を成長の手がかりとして捉え直すための地図として、取り入れる価値があります。自分のチャートを手元に置いてグリーンの著作を読むことで、理論と実践が結びつく体験ができます。 無料のホロスコープ計算機で自分のチャートを見る
ほかの占星術家を見る
ノエル・ティル リズ・グリーン スティーブン・アロヨ ロバート・ハンド ハワード・サスポータス ジェフリー・ウルフ・グリーン デーン・ルディア プトレマイオス ウィリアム・リリー アラン・レオ マルクス・マニリウス ウェッティウス・ウァレンス アブー・マーシャル グイド・ボナッティ ヨハネス・ケプラー ジャン=バティスト・モラン エヴァンジェリン・アダムズ ラインホルト・エバーティン スティーヴン・フォレスト クリス・ブレナン デメトラ・ジョージ リチャード・ターナス バーナデット・ブレイディ スーザン・ミラー チャーニ・ニコラス ドロテウス マーシャアッラー アル・ビールニー ニコラス・カルペパー セファリアル チャールズ・カーター マルク・エドモンド・ジョーンズ メラニー・ラインハート モーリス・フェルナンデス アライザ・ケリー 鏡リュウジ リンダ・グッドマン ミシェル・ゴークラン ロイス・ロッデン ジョン・アディ アリス・ベイリー イザベル・ヒッキー グラント・ルウィ マーガレット・ホーン 石井ゆかり 松村潔 ジャン・スピラー スー・トンプキンス マリオン・マーチ/ジョーン・マクエヴァーズ メアリー・フォルティエ・シア レイモンド・メリマン デボラ・ホールディング アラン・オーケン ジョアンナ・マーチン・ウールフォルク ロッド・サスキン ケヴィン・バーク ルル・ラブア 石川源晃 新里ひろき
リズ・グリーンの著作
Saturn: A New Look at an Old Devil The Astrology of Fate Relating: An Astrological Guide to Living with Others on a Small Planet
参考文献:Astrodienst Astro-Databank「Greene, Liz」(生年・略歴) / Wikipedia「Liz Greene」 / Urania Trust「Celebrated Astrologers: Liz Greene」
監修:編集部(占星術担当)最終更新 2026-06-20
あなたのチャートを無料で作成してみる
ホロスコープを無料作成