アンソニー・ルイス(Anthony Louis, 1945年生まれ)は、
ホラリー占星術や予測技法の解説書で知られるアメリカの占星術家・著述家です。出版社の著者紹介によれば、本業は精神科医で、10代のはじめから占星術を本格的な余技として研究してきました。タロットの研究歴も長く、占星術とタロットについて多くの記事と本を書き、各国で講演をしてきたと紹介されています。
著作の中心は実践です。質問をした瞬間の図から答えを読むホラリー、誕生日ごとの図で一年を読む
ソーラー・リターン、1920年代に著作を出した英国の占星術家ウィリアム・フランクランドの予測技法などを、多くの例題チャートを使って解説してきました。占星術ソフトウェアの分野でも、ハロラン・ソフトウェアのためにセカンダリー・プログレッション、ソーラー・リターン、職業に関するレポートの文章を書いています。所属団体としては、コネティカット占星術協会(Astrological Society of Connecticut)とNCGR(National Council for Geocosmic Research)の会員であることを公表しています。
日本では、
鏡リュウジ氏の監修・訳による『ホラリー占星術 入門と実践』(駒草出版、2020年)が刊行されています。
ルイスが古典の技法に深く入っていった経緯は、本人のブログに書かれています。何十年も前にニューヨークの占星術の大会で
ロバート・ゾラーに会った際、ゾラーから、厳密で論理的な方法をもつ
ジャン=バティスト・モランの
『アストロロギア・ガリカ』を学ぶよう勧められたといいます。ゾラー自身も師のゾルタン・メイソンから同じ助言を受けていました。その後、メイソンの弟子ロバート・コレがモランの講座を開いたとき、ルイスはすぐに申し込み、これがモランへの関心の始まりになったと述べています。
このモラン研究は、のちの翻訳につながります。ルイスはコレの紹介で、ジェームズ・ハーシェル・ホールデンと知り合い、『アストロロギア・ガリカ』第18書の英訳を手がけました。ホールデンは各節をラテン語原文と照らして確認し、ルイスはペパ・サンチスによるスペイン語訳を手がかりにラテン語を読んだと書いています。
ルイスの仕事の柱はホラリー占星術です。最初のホラリーの本『Horary Astrology: The History and Practice of Astro-Divination』(Llewellyn)は、著者紹介によれば1991年に初めて世に出て、1996年に改訂・再刊されました。592ページの大部な本です。続く『Horary Astrology Plain & Simple』(Llewellyn、1998年)は259ページで、副題が示すとおり、現実の質問に答えるための手引きとして書かれています。
2021年の『Horary Astrology: The Theory and Practice of Finding Lost Objects』(Llewellyn、424ページ)は、なくし物を探すという一つの主題に絞ったホラリーの専門書です。17世紀の
ウィリアム・リリーら先人の確立した方法にしたがい、占星術の文献とルイス自身の実践から集めた数十のチャートを詳しい解説つきで載せています。扱う題材は置き忘れた携帯電話から行方不明者まで及び、天体のキーワード、逆行するシグニフィケーター、コンバスト、色、ノードといった項目が取り上げられています。
予測技法では、2008年の『The Art of Forecasting using Solar Returns』(The Wessex Astrologer)がソーラー・リターンの解説書です。17世紀にモランがこの技法を使っていたことを含む歴史から始め、多くの事例で方法を検討しています。
2023年の『Secrets of Predictive Astrology: Improve the Scope of Your Forecasts Using William Frankland's Techniques』(Llewellyn)は、ロンドンの占星術家ウィリアム・フランクランドの技法を紹介する本です。フランクランドは1920年代後半に
シンボリック・ディレクションを扱った2冊の本を出しており、ルイスはそれをもとに、誕生時刻のわからない例を含む60を超えるチャートを検討しています。年齢とサインの関係をプトレマイオスやアラン・レオの人生段階の区分と結びつける考え方、重要な年を示す数、
ミッドポイント、惑星の期間などを扱っています。序文はアルゼンチンの占星術学校の代表マリア・ブラキエが寄せています。
占星術の著作は『Horary Astrology: The History and Practice of Astro-Divination』(1991年。1996年改訂)、『Horary Astrology Plain & Simple』(1998年)、『The Art of Forecasting using Solar Returns』(2008年)、『Horary Astrology: The Theory and Practice of Finding Lost Objects』(2021年)、『Secrets of Predictive Astrology』(2023年)です。翻訳にモランの『Astrologia Gallica Book Eighteen』(AFA)があり、同書は惑星の強さと弱さを判断する方法を扱っています。
タロットの著作には『Tarot Plain and Simple』、『Tarot Beyond the Basics』(2014年)、『Llewellyn's Complete Book of Tarot』があります。2013年からは占星術とタロットの電子書籍も出しています。日本語では、『Llewellyn's Complete Book of Tarot』が鏡リュウジ氏の監訳で『タロット事典 完全版』(朝日新聞出版、2018年)として、『Tarot Plain and Simple』が島津公美氏の訳で『タロット基本のリーディング大全』(ダイヤモンド社、2022年)として刊行されています。
日本語訳の『ホラリー占星術 入門と実践』は、『Horary Astrology Plain & Simple』を鏡リュウジ氏が監修・訳したもので、駒草出版から2020年8月31日に刊行されました。
ルイスの本は、ホラリーや予測技法を、理論の説明だけでなく多くの例題チャートで確かめながら学べるように作られています。リリーやモランといった17世紀の文献に依拠しつつ、現代の質問や事例に当てはめて見せるのが特徴です。
日本語で学ぶなら、まず『ホラリー占星術 入門と実践』から入るのが自然です。本事典のホラリーの項目や、ウィリアム・リリーと
『クリスチャン・アストロロジー』の解説とあわせて読むと、ルイスがどの伝統の上に立っているかがわかります。英語で先へ進むなら、なくし物の判断を掘り下げた2021年の本や、ソーラー・リターンの本が次の一冊になります。ゾラーとの関わりは
現代占星術家マップでも確かめられます。