潮島郁幸(しおじま ゆうこう、1903〜1971)は、戦後の日本で西洋占星術の体系的な教科書を出した占星術家です。生没年と読みは国立国会図書館の著者典拠(潮島, 郁幸, 1903-1971/シオジマ, ユウコウ)によります。
日本語版ウィキペディアによれば、イギリスに留学していたときに西洋占星術に触れて関心を持ち、研究を深めました。日本占星学研究所を主宰し、門下には、のちにマスメディアで活躍する
ルル・ラブアがいます。ルル・ラブアの項目では、ラブアが潮島に師事したのは1969年とされています。
日本占星学研究所の設立年は、資料によって食い違いがあります。日本語版ウィキペディアは1965年の設立とします。一方、国立国会図書館サーチに収録された神奈川県立図書館の書誌には、日本占星学研究所を発行者とする潮島の『占星学テキスト』が1956年と1959年の刊行として登録されています。本記事では設立年を一つに定めず、両方の記録があることを示しておきます。
潮島の仕事として書誌で確かめられるのは、西洋の近代占星術を体系的な日本語の教科書にまとめたことです。主著『最新占星学』(明玄書房)は、1955年から全4巻の限定版として刊行されました。
国立国会図書館に登録された各巻の目次を見ると、その構成がわかります。第1巻は、占星学とは何かという総論から始まり、天体、二区分・三区分・四区分、黄道十二宮、室(ハウス)を説明したうえで、天文暦と比例対数表を使ってホロスコープを手で計算する方法を詳しく扱っています。計算の章には「ラファエルの天文暦に使用された時」という節があり、英国で広く使われた天文暦を前提にしていたことがうかがえます。ハウス分割(目次の用語では「室の配分方法」)については、
キャンパナス式、
レジオモンタナス式、
プレシーダス式を取り上げています。アスペクト(座相)は、合・衝・三角・四角・六分の一のほかに、四角の半分、五の目、十二分の一、五分の一、五分の二といったマイナーアスペクトまで並べています。
第2巻は星座と天体の組み合わせと、生まれた日付の区切りごとの吉座相・凶座相、第3巻は天体と十二宮・十二室の意味、天体と星座が示す病気の種類、出生図の判断の方法を扱います。第4巻は鑑定書の作り方、出生時刻が不確かな場合の問題(
レクティフィケーションにあたる主題)、天文暦の使い方、そして
進行図の理論と判断方法を扱い、巻末に東京用のプレシーダス式(目次の表記は「プ式」)の室項表(ハウス表)を付けています。黄道十二宮は白羊宮・金牛宮・双児宮といった漢語の名称で書かれています。
『最新占星学』は版を重ねました。1959年から1960年にかけて全4冊の版が明玄書房から出て、1963年には一冊にまとめた総合版(540ページ)が出ています。総合版は1977年に第4刷が出ており、1987年刊の版も国立国会図書館サーチに記録されています。1955年の第1巻には、中村文聰と
門馬寛明が序文を寄せています。
ほかに、A・S・アリ(アーマッド・スール・ジョン・アリ)の『誕生日の神秘』の翻訳(明玄書房、真理文庫、1957年)、年ごとの運勢書『運勢手帖』1961年版(明玄書房)、日本占星学研究所から出た『職業用運勢秘帖』1967年版(1966年)や研究所のテキストがあります。
潮島の名は没後も受け継がれました。国立国会図書館は「潮島郁幸 2代目」(1945年生まれ)を初代とは別の著者として登録しており、2代目の名で日本占星学研究所から『占星学の鑑定実例講義』(1976年・1982年)、『手づくりホロスコープ』(1986年)、『鑑定のコツのコツ』(1990〜1997年)、『ホラリー占星学』(1993年)などが刊行されています。古書などで「潮島郁幸」の著作にあたるときは、どちらの著者の本かを確かめる必要があります。
門下のルル・ラブアは、日本語版ウィキペディアによれば1971年からマスコミで活動し、雑誌やテレビを通じて西洋占星術を一般に広めました。ラブアの代表作については
『占星学』(ルル・ラブア)を参照してください。
潮島の『最新占星学』は、ホロスコープを天文暦と対数表で手計算していた時代に、西洋の近代占星術が日本語でどう教えられていたかを示す資料です。ハウス分割の比較や進行図の扱いを現在の解説と読み比べるときは、本事典の
ハウスシステム比較が手がかりになります。日本の占星術家の系譜の中での位置は、
現代占星術家マップでも確認できます。