ダービー・コステロ(Darby Costello)は、ロンドンを拠点に活動するアメリカ出身の占星術家です。ロンドンの心理占星術センター(The Centre for Psychological Astrology、CPA)で1988年から講師として教え、学生の指導にもあたってきました。CPAの講師紹介では上級講師(Senior Tutor)とされています。英国占星術学院(Faculty of Astrological Studies)の客員講師も務め、英国とヨーロッパ各地で講義を続けています。
本人はインタビューで自らを心理占星術家と呼び、内面の風景としてのプシケ(心)を扱っていると語っています。公式サイトでは、自身の仕事を神話的・元型的・心理的な占星術と表現しています。著作の中心は、CPAでのセミナーをもとにした月と四元素の本です。
Skyscript に再掲されたインタビューによれば、コステロはマサチューセッツ州で生まれ育ちました。CPAの紹介では、1960年代半ばにアメリカで心理学・哲学・神学を学んだとされています。インタビューでは、最初に読んだ占星術の本は
デーン・ルディアの著作だったと振り返っています。
その後ボストンで占星術を学び、師として
イザベル・ヒッキー、
フランシス・サコイアン、
ルイス・アッカーの名を挙げています。学んだ順序は、CPAの紹介とインタビューで記述が異なります。
1971年、コステロは短い滞在のつもりで南アフリカへ渡り、そのまま長く暮らすことになります。ヨハネスブルグの人類科学博物館(Museum of Man and Science)の仕事として、南部アフリカで託宣と治療を担う人々、サンゴマの技芸と実践を記録しました。インタビューでは、この博物館に所属しサンゴマと深いつながりをもっていたエイドリアン・ボシャーに誘われて、この仕事に入ったと述べています。同じ時期にクライアントのためにチャートを作るようになり、占星術家としての実践が始まりました。
1983年にロンドンへ移り、個人セッションと講座の活動を広げたのち、1988年にCPAに加わります。CPAは
リズ・グリーンと
ハワード・サスポータスの講座として1980年に始まり、1983年に現在の名称になった教育機関で、コステロはその講師陣の一人として長く教えてきました。2000年代にはバース・スパ大学で文化天文学と占星術の修士課程を修めています(CPAの紹介では2007年に修士号を取得)。修士課程に入ったばかりのころのインタビューでは、最初の論文として、16世紀と20世紀の科学に照らして月の捉え方がどう変わったかを考え、両時代の詩を調べていると語っています。
コステロの仕事でよく知られているのは、月と四元素を、神話・哲学・心理学の層を重ねて読み解く講義です。
月については、CPAのセミナーをまとめた『The Astrological Moon』で、月の神話・心理・身体とのつながりから、サイン・ハウス・アスペクト・トランジットにおける月までを扱いました。後半では太陽と月の関係や、ルディアの仕事にもとづく
進行の月相サイクル、8つの月相を取り上げています。書籍紹介によれば、コステロは長年にわたって
進行の月がサインとハウスを移っていく様子を観察してきました。本書は、進行の月のサイクルが土星のトランジットのサイクルと絡み合う時期を、危機と変化の節目として論じています。
四元素については、火・地・風・水を、神話や古い文化の儀礼から錬金術・哲学・心理学まで通して考察しています。The Astrology Podcast 第246回(2020年)では、エレメントの起源としてエンペドクレスを挙げ、プラトンやアリストテレスの議論、熱・冷・湿・乾の性質、エレメントの偏り、そして蟹座と山羊座のように異なるエレメントの組を論じました。星座を4つのグループに分ける考え方そのものについては
四元素のコラムが参考になります。
最初の著書は、ドーリング・キンダースリー社のポケット版シリーズの『Astrology』で、リンジー・ラダーマッハーとの共著です。インタビューでは、長い書けない時期を経て1996年に著述家になったと語っています。
『The Astrological Moon』は、CPAプレスのセミナー・シリーズ第6巻として刊行された、2回のセミナーの記録です。第1部「源としての月」、第2部「月とそのサイクル」の2部構成で、2017年にはRaven Dreams Pressから再刊されました。
『Water and Fire』(CPAプレス、1998年)は、CPAで行った講義を収めた四元素論の第1巻で、水と火のエレメントを扱います。神話・錬金術・哲学・心理学から水のエレメントを考え、それを水のサインと水のハウスの読み方に結びつけています。続編の『Earth and Air』は地と風を扱い、CPAは本書を四元素の探究を完結させる一冊と紹介しています。2018年にRaven Dreams Pressからも刊行されました。
『The Mars Quartet: Four Seminars on the Astrology of the Red Planet』(2001年)は、CPAで行われた火星をめぐる4つのセミナーを、リズ・グリーンがまとめた共著です。執筆者はグリーン、コステロ、
リン・ベル、
メラニー・ラインハートの4人です。コステロの章は、エレメントによって火星の表れ方がどう変わるかを12サインごとに論じ、学習者が自分の欲求の性質に振り回されず、それと付き合えるようになることを目指しています。
コステロの著作は、CPAで実際に行われたセミナーの記録で、受講者とのやり取りが残されています。進行の月や四元素といった基本的な要素を、象徴の背景からたどり直したい人に向いた資料です。
入口としては、四元素について語ったThe Astrology Podcast 第246回が聞きやすく、書籍では『Water and Fire』と『Earth and Air』でエレメントを、『The Astrological Moon』で月と進行の月を学べます。CPAを中心とする心理占星術の流れのなかでの位置は、
現代占星術家マップや近代・心理派占星術の系譜でたどれます。