オースティン・コポック(Austin Coppock)は、米国の占星術家・著述家・講師です。公式サイトでは、オレゴン州アシュランドを拠点に、占星術の鑑定、講座、執筆、講演を行っていると紹介されています。以前の著者紹介ではロサンゼルスや太平洋岸北西部を拠点とする記述もあり、活動の拠点は時期によって移っています。学歴として、アンティオーク大学で社会科学・心理学と哲学の学士号を得たことが公式サイトに記されています。
立場は、歴史と伝統に根ざしながら、現代の展開にも開かれたものと本人のサイトで説明されています。2026年のユナイテッド・アストロロジー・カンファレンス(UAC)の講演者紹介では、その視点が
ヘレニズムとインドの伝統によって形づくられてきたと紹介されています。占星術とヘルメス主義などの魔術的伝統が重なり合う領域も、仕事の大きな柱です。
コポックは2012年から2016年まで、非営利団体「若い占星術家の会」(Association for Young Astrologers、AYA)の会長を務めました。2013年の『The Astrology Podcast』では、AYAが2004年から続いていること、占星術に関心を持つ若い人が占星術の世界とつながるのを助ける団体であることを語っています。2014年9月には、AYAの機関誌『The Ascendant』第1巻の編集責任者も務めました。
コポックのもっともよく知られた仕事は、
デカンの研究です。デカンは、各サインの30度を10度ずつ三つに分けた区分で、黄道全体では36になります。古代エジプトに起源を持ち、ヘレニズム期以降の占星術や魔術の伝統の中でさまざまに用いられてきました。コポックはこの36の区分の歴史と哲学をたどり、それぞれの解釈をまとめました。
もうひとつの柱は占星術魔術です。2018年の『The Astrology Podcast』では、占星術魔術を、霊や死者を呼ぶものではなく、惑星と星の力を使って変化をもたらそうとする営みとして説明し、精密な
イレクション(日時の選定)なしには成り立たないという考えを述べています。また、魔術を占星術に取り戻すことは、チャートを診断するだけでなく行動を処方できるようにする点で、占星術の回復だと位置づけています。
予報の分野でも活動してきました。2010年代前半には、その年の天体の動きを解説する年刊の『Astrological Almanac』を刊行しました。公式サイトは2011年から2015年の仕事として挙げており、書誌では2012年版から2015年版までが確認できます。週ごとのコラムは数百本にのぼると公式サイトにあります。UAC 2026 の紹介では、Sphere + Sundry という会社でイレクションの相談役を務めているとも紹介されています。
講演では、UAC(2018年)、米国占星術家連盟(AFA)の大会(2015年)、北西部占星術会議(2014年)などに登壇しています。UAC 2026 でも講演者に名を連ね、四元素と時代区分、フォール(下降)の惑星、
ドロセウスにもとづくイレクションを主題とする講演が組まれました。
代表作は『36 Faces: The History, Astrology and Magic of the Decans』(Three Hands Press、2014年)です。挿画はボブ・イームズが担当しました。2014年8月の『The Astrology Podcast』の紹介によれば、本書はデカンの歴史と哲学を扱い、36のデカンそれぞれの解釈に加えて、伝統的な7天体が各デカンにあるときの読み方も示しています。版元のサイトでは現在品切れと表示されています。
2018年5月には、Three Hands Press の主宰者ダニエル・A・シュルケとの共編で『The Celestial Art: Essays on Astrological Magic』を刊行しました。同社の西洋秘教史シリーズの1冊で、占星術魔術の理論と実践をめぐる12本の論考を収めています。寄稿者には
デメトラ・ジョージ、
ベンジャミン・ダイクス、
J・リー・レーマンらが名を連ね、インド占星術、錬金術、ギリシアの占星術的な薬草学、ハッラーンのサービア教徒の惑星魔術などを扱っています。コポック自身は、
恒星を主題とする巻頭の論考を書きました。番組での本人の話では、版元から企画を持ちかけられたのは『36 Faces』の刊行後、2014年の終わりごろでした。
このほか、年刊の『Astrological Almanac』(2013年版には「Ship of Fools」の副題)、魔術の論集『CLAVIS』第2巻(2013年)への寄稿、専門誌 The Mountain Astrologer への寄稿があります。
コポックは、
クリス・ブレナンの『The Astrology Podcast』に2013年から繰り返し出演してきました。2013年には AYA 会長として占星術の将来を語り、2014年には『36 Faces』を、2018年には『The Celestial Art』を紹介しています。2010年代半ばからは、ブレナン、
ケリー・サーティーズとともに月例の予報回に出演し、翌月の星の配置と日取りの選び方を解説しました。2016年1月配信の2月予報回、2018年2月配信の3月予報回などがその例です。
占星術の外では、秘教や魔術を扱うポッドキャスト(Rune Soup、Occulture など)にも出演しています。
デカンに関心がある人は、まず本事典の
デカンのコラムで基本の区分を確かめてから、『36 Faces』の内容を紹介した2014年8月の『The Astrology Podcast』を聴くと、コポックの関心の広がりがつかみやすくなります。占星術と魔術の関係に関心がある人は、『The Celestial Art』と、2018年7月の同番組の紹介回が入り口になります。人物同士のつながりは
現代占星術家マップでも確かめられます。