マーク・ジョーンズ(Mark Jones)は、英国を拠点に活動する進化占星術の占星術家・教師・著述家で、サイコシンセシス(統合心理学)のセラピストでもあります。
冥王星と
月のノードを軸に魂の成長を読む
進化占星術の方法に、心理療法の現場で積んだ経験を重ね合わせ、チャートを治療的に生かす道を探ってきた人物です。
ジョーンズ自身の説明では、チャートの分析は「深い自己」、つまり心や魂の本来の性質とつながるためのものです。心理療法の仕事にとって占星術は、その作業の隠れた地図、あるいは構造を明らかにするものだったと語っています。現在は Astrology University の上級講師を務め、北米・ヨーロッパ・オーストラリアで講演やワークショップを重ねています。
Integralea に載ったインタビューによると、ジョーンズは大学で英米文学を学び、創作の大学院課程を修了したのち、宗教・神秘主義・オカルトの研究に進みました。意味をもたらす不思議な要素への関心は、大学で詩を学んでいたころに始まったと述べています。
占星術との出会いはカバラを経由したものでした。23歳のとき、
ウォーレン・ケントンのもとで生命の樹を学び、そこでカバラの占星術を紹介されたことが入口になったと語っています。カバラという既存の聖なる枠組みを通して占星術を学んだことは、本人にとって利点だったといいます。
2002年には三つの課程を修了しました。サイコシンセシスのセラピスト養成課程、
ジェフリー・ウルフ・グリーンの進化占星術の学校、そして
ノエル・ティルの占星術による統合とカウンセリングのマスター課程です。その後、心理療法の個人開業を始めるとともに、英国で進化占星術の講座を教えるようになりました。心理療法の個人開業は2016年末に退き、以後は占星術と心理療法を組み合わせる仕事に専念していると述べています。
ジョーンズの仕事の中心は、進化占星術の「進化の軸」と呼ばれる冥王星と月のノードに、
天王星を加えて読む方法です。第一作『Healing the Soul』の書評によると、冥王星のサイン・ハウス・アスペクトの全体は、魂の深い資源や安心を求める欲求、繰り返されるパターンを示すものとして読まれます。冥王星の反対側の点は、魂が変容のために必要とするものを示します。ドラゴンテイルは過去から持ち越したパターン、ドラゴンヘッドは成長の方向とされ、ノードの支配星やノードにスクエアをとる天体も読みに加えます。天王星は目覚めと個性化を表す一方、ハードアスペクトはトラウマとなった経験の型を示しうるとされ、潜在意識に治療的に関わる方法が示されています。
ノードを重んじる理由について、ジョーンズは The Mountain Astrologer のインタビューで、ノードはチャートの個人的な力学に深く入る手がかりであり、そこに冥王星と天王星を加えることで、成長していく月の個人的な力学を、より深いトランスパーソナルな力学の中に置けると説明しています。また難しい配置を一方的に悪いものとして扱う見方には強く反対しており、それは人間の経験や苦しみの価値を退けることになると述べています。
もうひとつの柱が、占星術家のためのカウンセリング技能です。The Astrology Podcast の解説によれば、クライアントと一対一で会う占星術家は、どの流派であってもすでにカウンセリングをしているのだから、その場で起きる力学を理解する必要がある、というのがジョーンズの主張です。投影や転移・逆転移といった防衛や関係の動きを、占星術の相談の場に即して論じています。
さらに近年は、月だけでなくすべての天体の軌道が黄道と交わる点、つまり天体のノードを研究しています。
デーン・ルディアらの仕事を土台に、木星・土星・冥王星などのノードを集合的な変化と結びつけて論じるものです。
第一作『Healing the Soul: Pluto, Uranus and the Lunar Nodes』(Raven Dreams Press、2011年)は、ジョーンズの進化占星術の方法を詳しく説明した本です。冥王星とノードの軸に天王星を加えた読み方を、段階を追った手順と事例で示しています。
第二作『The Soul Speaks: The Therapeutic Potential of Astrology』(Raven Dreams Press、2015年)は、心理療法家としての経験をもとに、占星術家にカウンセリングの技能を教える本です。特定の占星術の方法を採ることを前提にしておらず、心理占星術を実践していなくても役立つように書かれています。番組の解説では、ロベルト・アサジョーリのサイコシンセシス、土星と外惑星のサイクルを扱う後半の章、相談を行う占星術家の倫理にも触れています。
第三作『The Planetary Nodes and Collective Evolution』(Raven Dreams Press、2020年)は、天体のノードの研究をまとめたもので、西洋の歴史上の転換点を出来事のチャートと人物の生涯から読み解いています。
このほか、フランク・クリフォードとの対話をまとめた『Dialogues: Tools for the Working Astrologer』(FLARE、2016年)があり、『Astrology: the New Generation』『Transpersonal Astrology』『Insights into Evolutionary Astrology』といった論集にも章を寄せています。
ジョーンズは、進化占星術の内側だけでなく、他の流派との対話の場にも出てきました。2015年2月の The Astrology Podcast では、ヘレニズム占星術を研究する
クリス・ブレナンと、難しい配置を近代と伝統の立場がどう見るかを論じています。ジョーンズは吉星・凶星という区別が白黒をつけすぎ、クライアントを傷つけるおそれがないかを問い、ブレナンは区別をなくすことがかえってクライアントの実感を受けとめ損なうと応じました。立場の違いを相談の現場の問題として話し合った回として残っています。
教育の面では、Astrology University での自習型の基礎講座やカウンセリング講座のほか、進化占星術ネットワーク(EAN)の
キム・マリーと、第2・第7・第12ハウスを通して本質的な欲求を扱うワークショップを共同で行っています。カバラから入り、グリーンとティルの双方に学んだ経歴は、
現代占星術家マップでもたどれます。
ジョーンズを知る意義は、進化占星術が掲げる魂の成長という考え方を、心理療法の実際の手順とどう結びつけられるかを具体的に示している点にあります。チャートを読むことと、目の前の人と話すことのあいだにある技能を独立した主題として扱った占星術家は多くありません。
著作はいずれも英語です。方法の全体像は『Healing the Soul』、相談の技能は『The Soul Speaks』から入るのが順当です。予備知識としてグリーンの
『Pluto: The Evolutionary Journey of the Soul』を読んでおくと、冥王星とノードの読み方の違いがわかりやすくなります。The Astrology Podcast の二つの回は無料で聴けるので、本人の考え方に触れる入口になります。