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占星術用語の表記揺れ ガイド(リファレンス)
ASC=上昇星座、合=コンジャンクション、ホロスコープ=ネイタル等、同じものを違う言葉で書く慣習の対応表
対象カテゴリ
ホロスコープ・アングル・ノード・10天体・12サイン・アスペクト・ハウス・技術用語
想定読者
占星術書を読むすべての人
なぜ占星術用語には表記揺れが多いのか
占星術の文章を読んでいると、同じ概念が複数の言葉で書かれていることに気づくことがあります。「ホロスコープ」と書かれていたり「ネイタルチャート」と書かれていたり、「合」と書かれていたり「コンジャンクション」と書かれていたり。初学者が複数の書籍やウェブサイトを参照するとき、これが混乱の原因になりやすいです。 表記揺れが生じる理由は主に4つあります。 1つ目は古典の翻訳の歴史です。占星術はギリシア語・ラテン語・アラビア語・英語を経由して日本に入ってきました。それぞれの段階で訳者が独自の訳語を当てており、複数の翻訳語が並存した状態で現代に至っています。「アスペクト」というカタカナが定着する一方で、江戸期の和書にさかのぼる「矩(く)」「衝(しょう)」のような漢字表記も残り続けています。 2つ目は流派の違いです。西洋占星術の中にも、ヘレニズム占星術・中世占星術・近代心理占星術といった系統があり、それぞれが異なる文献伝統を持っています。ヴェーダ(インド)占星術はさらに独自の用語体系を持ちます。月のノードを「ラーフ/ケートゥ」と呼ぶのはヴェーダ占星術由来であり、「ドラゴンヘッド/ドラゴンテイル」は中世西洋占星術に由来します。同じ天体の点を指していながら、流派によって名前が異なります。 3つ目は略称と正式名の混在です。アセンダントを「ASC」と書く、MCを「ミッドヘブン」と書く、というように、正式名・ラテン語名・英略称・カタカナ表記が文脈によって使い分けられています。特に感受点(アングル)は、天体とは異なりアルファベット略称での表記が浸透しているため、正式なラテン語名を意識している読者とそうでない読者の間でギャップが生じます。 4つ目は和名と外来語の並存です。太陽を「ソル」「ヘリオス」と呼ぶギリシア・ローマ神話の名称から、日本語の「火曜」に対応する「火星(マルス)」まで、同一の惑星を指す名前が時代・言語ごとに存在します。天文学の公式な和名(ひらがな)と占星術で慣用される漢字表記の差も、日本独自の表記揺れの一要因です。 本コラムでは、こうした表記揺れをカテゴリ別に整理します。同じ概念を指す複数の呼び方を一覧にすることで、異なる書籍やサイトの記述を対照しながら読むための参照リファレンスとして機能させることを目的にしています。
ホロスコープ・出生図・ネイタルチャート
占星術で最も頻繁に登場する表記揺れのひとつが、チャートそのものを指す言葉です。「ホロスコープ」「出生図」「ネイタルチャート」「バースチャート」は、いずれも同じものを指しています。 ホロスコープ(Horoscope)はギリシア語の「ホロスコポス(horoskopos)」に由来し、「時を観る者」を意味します。もともとは特定の時刻における天体の配置を記した図全般を指す言葉ですが、現代の日常会話では「自分の星座を見る占星術」全体を指すような広義の使われ方もします。本事典では、天体配置の図そのものを「ホロスコープ」と呼んでいます。詳しくはホロスコープを参照してください。 出生図は「ホロスコープ」の日本語訳です。生まれた瞬間の天体配置を記録した図という意味が明確に伝わる表現であり、説明的な文脈ではこちらの表現が使われることもあります。 ネイタルチャート(Natal Chart)は英語表記です。「Natal」はラテン語の「natus(生まれた)」に由来し、「出生の」という意味を持ちます。英語圏の占星術書をそのまま読む際や、英語圏の表現に親しんだ読者向けの文脈でよく使われます。詳しくはネイタルチャートを参照してください。 バースチャート(Birth Chart)は「ネイタルチャート」と完全に同義の英語表現です。「Birth=出生」と直接的に示す分、英語として見たときの意味がつかみやすいです。日本語圏では「ネイタルチャート」のほうが定着している場合が多いですが、英語のサイトでは同頻度で使われています。 本サイトでは「ホロスコープ」を主たる表記として用い、文脈によって「ネイタルチャート」を併用しています。いずれの言葉で検索してもこのサイトに辿り着けるよう、各所で適宜補足しています。
4つのアングル(感受点)の呼び方
ホロスコープには4つの重要な基準点があり、これらを総称してアングル(感受点)と呼びます。英語では「Angle」または「Angular Point」と書きます。ASC・DSC・MC・ICの4点がこれにあたります。それぞれに複数の呼び方があり、文献によって使い分けが異なります。 アセンダント(Ascendant・ASC)は、出生の瞬間に東の地平線上に昇っていた黄道の度数です。上昇点・上昇星座・第1ハウスのカスプとも呼ばれます。「ASC」は最もよく使われる略称で、チャート図上では円の左端に表示されることが多いです。詳しくはアセンダントを参照してください。 ディセンダント(Descendant・DSC)は、アセンダントの正反対にあたる点で、西の地平線に対応します。下降点・下降星座・第7ハウスのカスプとも呼ばれます。アセンダントが「昇る点(Ascend)」であるのに対し、ディセンダントは「降りる点(Descend)」を意味します。詳しくはディセンダントを参照してください。 MC(Medium Coeli・ミディアム・コエリ)はラテン語で「天の中央」を意味します。天頂・南中点・第10ハウスのカスプとも呼ばれます。英語では「Midheaven(ミッドヘブン)」とも表記されます。「MC」の略称が最も広く使われており、チャート図の上部に表示されます。詳しくはMC(天頂)を参照してください。 IC(Imum Coeli・イムム・コエリ)はラテン語で「天の底」を意味します。天底・第4ハウスのカスプとも呼ばれ、MCの対極にあたります。「IC」の略称で表記されることがほとんどで、チャート図の下部に位置します。詳しくはIC(天底)を参照してください。 これら4つのアングルの詳しい読み方については、コラム4つのアングルを参照してください。
月のノードの呼び方
月のノードは、月の軌道(白道)と太陽の軌道(黄道)が交わる2つの点を指します。天体ではないため、チャートには特別な記号で記されます。この2点には非常に多くの呼び名があり、流派によって異なる名称が使われています。 ノースノード(North Node・昇交点)は、月が南から北へ黄道を抜けていく方向の交点です。英語では「North Node」または略して「NN」と書きます。日本語では「北のノード」「北ノード」とも呼ばれます。詳しくはノースノードを参照してください。 サウスノード(South Node・降交点)は、月が北から南へ黄道を抜けていく方向の交点で、ノースノードの対極にあたります。「南のノード」「南ノード」とも呼ばれ、略称は「SN」です。詳しくはサウスノードを参照してください。 中世西洋占星術では、ノースノードを「ドラゴンヘッド(Dragon's Head)」または「カプット・ドラコニス(Caput Draconis・龍頭)」と呼び、サウスノードを「ドラゴンテイル(Dragon's Tail)」または「カウダ・ドラコニス(Cauda Draconis・龍尾)」と呼んでいました。龍が天球をまたいでいるようなイメージに由来する古典的な呼称です。 ヴェーダ(インド)占星術では、ノースノードを「ラーフ(Rahu)」、サウスノードを「ケートゥ(Ketu)」と呼びます。インド神話に登場する蛇の悪鬼に由来する名称で、ヴェーダ占星術ではこの2点を「影の天体」として重要視します。インド占星術の書籍や実践者の発信を読む際には、「ラーフ」「ケートゥ」という表記に出会うことになります。 月のノード全体については月のノードで詳しく解説しています。
10天体の呼び方
占星術で用いる10天体(太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星)には、日本語の和名(漢字)・英名・ギリシア・ローマ神話に由来する神名という複数の呼び方があります。 補足として、太陽と月は厳密には「天体」ではなく「光体(ルミナリー・Luminaries)」と呼ばれることがあります。惑星でも恒星でもないという天文学的な区別に基づく呼称で、古典占星術の文脈では「太陽と月の2つの光体+5惑星(水・金・火・木・土)」という7天体構成が基本でした。「10天体」という呼び方は、近代以降に発見された天王星・海王星・冥王星を加えた現代的な数え方です。 以下に和名・英名・神話名の対応を示します。 太陽(Sun):ギリシア神話のヘリオス(Helios)、ローマ神話のソル(Sol)に対応します。日本語では「太陽」が一般的な表記です。 月(Moon):ギリシア神話のセレネ(Selene)またはアルテミス(Artemis)、ローマ神話のルナ(Luna)に対応します。 水星(Mercury):ギリシア神話のヘルメス(Hermes)、ローマ神話のマーキュリー(Mercury)に対応します。英語では惑星名と神名が一致しています。 金星(Venus):ギリシア神話のアフロディーテ(Aphrodite)、ローマ神話のヴィーナス(Venus)に対応します。 火星(Mars):ギリシア神話のアレス(Ares)、ローマ神話のマルス(Mars)に対応します。 木星(Jupiter):ギリシア神話のゼウス(Zeus)、ローマ神話のジュピター(Jupiter)に対応します。 土星(Saturn):ギリシア神話のクロノス(Kronos)、ローマ神話のサターン(Saturn)に対応します。 天王星(Uranus):ギリシア神話のウラノス(Uranos)に対応します。1781年発見で、神話名がそのまま惑星名として採用されました。 海王星(Neptune):ギリシア神話のポセイドン(Poseidon)、ローマ神話のネプチューン(Neptune)に対応します。1846年発見です。 冥王星(Pluto):ギリシア神話のハデス(Hades)、ローマ神話のプルートー(Pluto)に対応します。1930年発見。2006年にIAU(国際天文学連合)が「矮小惑星(準惑星)」に再分類しましたが、占星術では引き続き10天体の一つとして扱われることが多いです。
12サインの呼び方
黄道12サイン(星座)の名称は、漢字表記・平仮名表記・英名の3種類が並存しています。 天文学の公式表記では平仮名を用い、たとえば「ふたご座」「おうし座」と書くのが標準です。一方、占星術では漢字表記「双子座」「牡牛座」が慣例として定着しており、多くの占星術書・ウェブサイトは漢字表記を採用しています。英名はラテン語起源のサイン名で、国際的に通用する表記です。 以下に12サインの3種類の対応を示します。 牡羊座(おひつじ座/Aries)、牡牛座(おうし座/Taurus)、双子座(ふたご座/Gemini)、蟹座(かに座/Cancer)、獅子座(しし座/Leo)、乙女座(おとめ座/Virgo)、天秤座(てんびん座/Libra)、蠍座(さそり座/Scorpio)、射手座(いて座/Sagittarius)、山羊座(やぎ座/Capricorn)、水瓶座(みずがめ座/Aquarius)、魚座(うお座/Pisces)。 占星術の学習過程では、日本語の書籍(漢字)・ウェブ記事(混在)・英語のソフトウェアや書籍(英名)を並行して参照することが多いため、この3列の対応関係を頭に入れておくと読み合わせがスムーズになります。特に「蠍座」と「Scorpio」、「射手座」と「Sagittarius」は字面からの対応が直感的にわかりにくいので、早めに覚えておくと便利です。 なお、英語の占星術書では12サインを星座(Constellation)とは区別し、サイン(Sign)と呼びます。天文学上の星座は歳差運動の影響で実際の天体位置と30度ほどずれていますが、西洋占星術で扱うサインは春分点を起点に固定した30度ずつの区画であり、天文学の星座とは異なるものです。
主要アスペクトの呼び方
アスペクトは天体間の角度関係を指す技術用語で、5つの主要アスペクトには古典和名・カタカナ表記・英名が存在します。 現代日本の占星術ではカタカナ表記が主流ですが、古典的な占星術書では「合」「衝」「矩」などの漢字が使われており、文脈によっては今もそちらが使われることがあります。以下に対応を示します。 0度:合(ごう)/コンジャンクション(Conjunction)。2つの天体が同じ度数に重なる配置です。「合」という漢字はそのまま「合わさる」ことを示しています。 180度:衝(しょう)/オポジション(Opposition)。正反対の位置に天体が向き合う配置です。「衝突」の「衝」が使われます。 90度:矩(く)/スクエア(Square)。90度の直角関係を示します。「矩」は直角・物差しを意味する古い漢字で、現代では読み方を知らない人も多いです。 120度:三分(さんぶん)/トライン(Trine)。120度は円の3等分にあたることから「三分」と呼ばれます。英語「Trine」もラテン語の「3」に由来します。 60度:六分(ろくぶん)/セクスタイル(Sextile)。60度は円の6等分にあたることから「六分」と呼ばれます。「Sextile」もラテン語の「6」に由来します。 書籍によっては、カタカナを使いながらも括弧内に英語を添える(「コンジャンクション(Conjunction・合)」)表記を採るものもあります。本サイトでもこの方式を採用しており、慣れていない読者が意味を確認できるようにしています。
ハウスの呼び方
ホロスコープを12に区切った「場」のことをハウス(House)と呼びます。日本語では「室(しつ)」または「部屋」という訳語が使われることもあります。「第1ハウス」「第1室」「1の部屋」はすべて同じものを指しています。現代の占星術ではカタカナの「ハウス」が最も広く使われており、本サイトもこれを採用しています。詳しくはハウスを参照してください。 各ハウスの開始点(境界線)のことをカスプ(Cusp)と呼びます。「第1ハウスのカスプ=アセンダント」「第10ハウスのカスプ=MC」というように、感受点(アングル)との対応関係も重要です。詳しくはカスプを参照してください。 ハウスの区切り方には複数の方式があり、これをハウスシステムと呼びます。代表的なものにプラシダス・ホールサイン・コッホ・イコールハウス・ポルフィリー・レギオモンタヌス・カンパヌスなどがあり、現代では10種類以上が知られています。同じ出生データでもハウスシステムが異なると、特に中間ハウス(2・3・5・6・8・9・11・12ハウス)のカスプ位置が変わります。 「プラシダス」「ホールサイン」という呼称はそれぞれのシステムの考案者・流派に由来します。ハウスシステムによってはカスプが変わるため、書籍や他サイトのチャートを読む際にはどのシステムを使っているかを確認することが大切です。 各システムの詳しい比較はハウスシステム比較ガイドで解説しています。
オーブ・アスペクト・ステリウム
日常語と混同されやすい技術用語、または同じ分野の別用語と区別しにくい言葉をまとめます。 オーブ(Orb)は、アスペクトが効果を持つとされる角度の許容範囲を指します。詳しくはオーブを参照してください。たとえば「コンジャンクションのオーブを8度とする」とは、0度(完全な合)から8度以内のずれであれば、そのアスペクトが有効であると見なす、という意味です。 「オーブ」は天文学でも「球体」を意味するラテン語「orb」に由来しており、占星術文脈では「有効範囲」「許容誤差」という意味で使われます。流派や占星術家によってオーブの設定は大きく異なり、同じアスペクトでも「有効」とされるかどうかが変わることがあります。 アスペクト(Aspect)は天体間の角度関係の総称です。詳しくはアスペクトを参照してください。日本語で「相(そう)」「相性」と書く場合もありますが、現代の占星術ではカタカナ表記が一般的です。「アスペクト」という語は英語で「側面・見方」を意味し、「ある天体から別の天体をどのような角度で見るか」というニュアンスを持ちます。 ステリウム(Stellium)は、同じサインまたはハウスに3天体以上が集中している配置を指します。詳しくはステリウムを参照してください。「ステリウム」はラテン語の「星(stella)」に由来する造語です。日本語では「集中配置」「集合」などと説明されることもありますが、ほとんどの場合「ステリウム」というカタカナで表記されます。 「ステリウム」と「コンジャンクション(合)」は混同されやすいですが、コンジャンクションが2天体の関係を指すのに対し、ステリウムは3天体以上の集中を指す点で異なります。
用語選びの考え方
同じ概念に複数の呼び名があるとき、どれを選べばよいかという問いは、「誰に向けて書くか」と「どの流派の文脈か」によって決まります。 学習をはじめたばかりの読者が対象であれば、できる限り一つの用語に絞り、括弧内で別名を補うのが親切です。「コンジャンクション(合)」「アセンダント(ASC・上昇点)」のように、主たる呼び方に他の呼称を添えるスタイルは、複数の書籍を並行して読む読者にとって役立ちます。 ヘレニズム占星術や古典を研究している読者が対象であれば、ラテン語表記(MC・IC・Caput Draconis 等)や古典和名(矩・三分・六分)を積極的に使うことで、対応する文献の言葉を直接参照できるようになります。 ヴェーダ占星術と西洋占星術を横断して学んでいる読者には、「ノースノード(ドラゴンヘッド・ラーフ)」のように、西洋と東洋の呼称を並記することで、両系統の文献での検索が容易になります。 本サイトでは、現代の日本語占星術書で最も一般的な呼び方(ホロスコープ・コンジャンクション等のカタカナ)を主表記として採用し、古典的な和名・ラテン語名・英名は補足的に掲載しています。別名から検索で辿り着けるように、用語集の各エントリには同義語の案内を設けています。 用語が多く感じられる場合は、まず「主要なもの一つで検索して正式な解説を確認する」という習慣が、表記揺れに惑わされない最も確実な方法です。 無料のホロスコープ計算機で自分のチャートを見る
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参考文献:本事典の用語集・天体・サイン・アスペクト各ページに準拠 / James Holden『A History of Horoscopic Astrology』 / 鏡リュウジ『占星術の文化誌』
監修:編集部(占星術担当)最終更新 2026-06-20
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