ルーナーリターン(Lunar Return:月回帰)とは、現在の空の月が、生まれたときの月と完全に同じ黄道上の位置(同じサイン・同じ度数・分)に戻る瞬間を指します。月は約27.3日で黄道を一周するため、ルーナーリターンは毎月1回、前回のリターンから約27〜28日ごとに訪れます。1年のうちでは十三回ほど巡ってくる計算です(
ルナーリターン(用語))。
このルーナーリターンが起きた瞬間の天体配置を一枚の図として描いたものが「ルーナーリターンチャート」です。ソーラーリターン(太陽の帰還)が1年に1回の節目を示すのに対し、ルーナーリターンは月ごとの感情的・日常的なテーマの流れを読む手がかりとなります。
名前の似た技法に、新月や満月の瞬間に立てる
ルネーション図があります。ルネーションは空の太陽と月の角度だけで決まるので、誰の出生図とも関係なく同じ瞬間に起こります。一方のルーナーリターンは、自分の出生図の月が基準なので、その時刻は人によって違います。どちらも「ひと月」を区切る図ですが、何を起点に数えているかが異なると押さえておくと、取り違えにくくなります。
ルーナーリターンチャートは、単独で読むか、出生図と重ね合わせて読むのが一般的です。このチャートの月は、定義のうえで常に出生図の月と同じ位置(サインと度数が一致)になります。
注目するポイントの一つはアセンダントです。ルーナーリターンが起きた時刻・場所によってアセンダントが決まり、どのハウスにどの天体が来るかが変わります。月がこのチャートのどのハウスに入るかが、その月の感情的・生活的テーマを示すとされます。
また、ルーナーリターン時の月が出生図のどの天体とアスペクトを形成しているかも読みます。実践家によっては、リターンの瞬間をどこで迎えるかを選んでアセンダントを変え、月の入るハウスを調整するという方法をとることもあります。回帰の瞬間にいる場所でアセンダントやハウスが変わる、という
リターン(回帰法)全般のしくみを応用した考え方です。
読む順序の一例を挙げます。リターン図のアセンダントのサインで、そのひと月の構え方の色合いをつかんだら、月の入ったハウスを見て、気持ちが向かいやすい生活の場面を押さえます。月が家庭をあらわすハウスに入った月は家や家族のことに、仕事や社会的な立場をあらわすハウスに入った月は対外的な役割に、関心が寄りやすいと読みます。出生図の天体へのアスペクトはそのあとで重ね、どの天体のテーマが揺さぶられやすいかを確かめます。
ソーラーリターンが1年間の大きな方向性を示すのに対し、ルーナーリターンはその年の各月の感情的・日常的な流れを細かく見るためのツールです。ソーラーリターンで示されたテーマが、各月のルーナーリターンでどう展開するかを追うことで、時間のリズムをより細かく捉えることができます。
一般的には、ソーラーリターンを年間の地図として先に読み、そのなかでルーナーリターンを月単位の補助として活用するという使い方が多くされます。月のサインやハウスの象徴が強いチャートを持つ人に、特に有効な技法とされています。
リターン図の効力は次の回帰までの期間にかぎられる、と考えられている点にも注意が要ります。ルーナーリターンなら、ひと月たてば次の図に役目を譲ります。ひと月の図で長い先まで見通そうとせず、年の図と月の図で受け持つ期間を分けて読むほうが、読みが混線しにくくなります。
ルーナーリターンは、月が生誕時の位置に戻るごとに立てる「月ごとのチャート」で、その1か月の感情的テーマや日常の流れを読む技法です。ソーラーリターンと組み合わせることで、人生の時間をより細かく捉えることができます。大きな出来事が続く時期や、月の影響を特に意識したい時期の見通しを立てる手がかりとして活用されています。
この辞典には、ルーナーリターンの図そのものを立てるツールはありません。出生図の月が何座の何度にあるかを控えておくと、リターン図を立てられる計算環境で毎月の図を出すときに、基準の度数として照合できます。
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