二つの向き
ホロスコープのアスペクトには、じつは「向き」があります。これから角度が「きっかり(イグザクト)」に近づいていく途中なのか、それともすでにきっかりを過ぎて離れていくところなのか、という時間の向きです。
近づいていく途中のものを、アプライング(接近)と呼びます。反対に、すでに過ぎて離れていくものを、セパレーティング(分離)と呼びます。
どちらの向きになるかは、速い天体が遅い天体に追いつくかどうかで決まります。天体は動く速さがそれぞれ違い、月がいちばん速く、土星や冥王星はとてもゆっくりです。
たとえば、速い月が、ゆっくりした土星にこれから追いついていく途中なら、その月と土星のアスペクトはアプライング。すでに月が土星を追い越して先へ行ってしまっていれば、セパレーティングです。同じ「月と土星のスクエア」でも、追いつく前か後かで、向きが変わります。
なぜ向きが大事か
向きがわかると、そのアスペクトのテーマが「これからの話」なのか「もう済んだ話」なのかを読み分けられます。
アプライングは、まだ発展途上で、これから強まっていくテーマと読みます。エネルギーがきっかりに向かって高まっていく、いわば「これから本番」の配置です。一方セパレーティングは、すでに起き切って、なじんでしまったテーマと読みます。山場を越えて、もう体になじんでいる、というイメージです。
とくにホラリー(質問)占星術では、この向きがとても重視されます。「その願いは叶うか」を問うとき、関係する天体どうしがアプライングなら、事が成就へ向かっていくしるしとされます。逆にセパレーティングなら、もう機を逃したか、すでに片がついている、と読むことが多いのです。
たとえば、接近中の太陽と土星のスクエアは、いままさに向き合っている真っ最中の課題をあらわします。責任やプレッシャーと、今ちょうど格闘している。分離した同じ配置なら、その山はもう越えたあと、と受け止めることになります。
向きを知るメリット
向きという視点を持つと、自分の中で「いま動いているテーマ」と「もう落ち着いたテーマ」を見分ける手がかりになります。
たとえば自分のチャートで、接近中のアスペクトに気づけたら、それは今まさに育ちつつある課題やテーマかもしれない、と受け止め直せます。うまくいかないことがあっても、「これはまだ発展途上の最中なのだ」と思えれば、自分を責めるのではなく、過程として眺める余白が生まれます。反対に分離したアスペクトなら、「あの感じはもう自分になじんだもの」と整理しやすくなります。
占星術は、未来を言い当てるものではありません。むしろ、自分の人生のいまどこにエネルギーが集まっているのかを映してくれる地図のようなものです。その地図に「向き」という時間の矢印が加わると、景色はぐっと立体的になります。
それぞれのアスペクトが何を意味するのかは、本事典のアスペクト各項目をご覧ください。そして、あなた自身のチャートでどのアスペクトが接近中で、どれが分離しているのかは、「無料のホロスコープ作成」で実際に計算して確かめられます。今この瞬間の、自分だけの星の配置を、自己理解の入り口としてながめてみてください。