出生図は「動かない設計図」
ネイタルチャート(出生図)は、あなたが生まれたその瞬間に、空のどこにどの天体があったかを写し取った一枚の図です。たとえるなら、生まれた時刻に空のシャッターを切った写真。そこに写った星の配置は、生涯を通じて変わりません。太陽は何座にあったか、月はどこにいたか。それは一度きりの、あなただけの設計図です。以後にどんな技法を使うにしても、この一枚が動くことはありません。基準点が動いてしまっては、そこに重ねる「いまの空」の意味も定まらなくなるからです。
では、変わらない設計図から、人生の「流れ」や「いまこの時期のテーマ」はどう読むのでしょう。たとえば「最近やけに壁にぶつかる」「転機が近い気がする」といった実感です。誰の空にも共通して起きている天体の動きと、ここでいう転機の実感はレベルが違います。同じ天体の動きでも、それがあなたの出生図のどの天体と重なるかによって、意味も強さも変わってくるからです。
答えは、動かない出生図の上に「その後も動きつづけている空」を重ねて読むこと。土台は固定したまま、現在の空をスライドのように上から合わせるわけです。出生図の外側にもうひと回り大きな円を描き、そこに今日の天体の位置を置いていくイメージに近いです。この「重ねて読む」発想から、未来をあつかう技法が生まれます。
トランジット(経過)
もっとも基本となるのがトランジット(経過)です。いま現在、実際に空を運行している天体が、あなたの出生図の天体やアングル(地平線・子午線などの基準点)に対して、どんなアスペクト(角度関係)を作っているかを見ます。動いている「いまの空」と、止まっている「生まれた瞬間の空」の対話、と考えるとわかりやすいです。太陽や月、水星、金星、火星といった動きの速い天体も同じように出生図へアスペクトを作りますが、動きが速いぶん、ひとつの配置はすぐに過ぎ去っていきます。
特に意味が大きいのは、動きの遅い天体です。土星・天王星・海王星・冥王星はゆっくり進むぶん、ひとつの配置が長くつづき、人生の大きな節目を刻みます。土星が出生図のある天体に重なっている期間は、同じテーマを繰り返し感じることが多く、単発の出来事というより、じわじわと状況が変化していく過程として体感されやすいものです。
なかでも有名なのが「サターン・リターン」。土星はおよそ29.5年(厳密には約29.46年)かけて空を一周し、出生時の土星の位置へ戻ってきます。一巡目はおおむね20代後半、二巡目は50代後半。たとえば「29歳前後で働き方や生き方を本気で見直した」という話をよく聞きますが、これは責任や自立をうながす土星が一周して戻る時期と重なります。出生図の土星がどのハウスにあるか、どんなアスペクトを受けているかによって、同じサターン・リターンでも本人が感じるテーマは変わってきます。仕事の土台を築き直す人もいれば、人間関係の枠組みを見直す人もいる、という具合です。あくまで起きやすい傾向であって、出来事を断定するものではありません。
プログレッションとソーラーリターン
トランジットが「実際の空」を見るのに対し、プログレッション(進行)は時間を象徴的に進める技法です。代表が二次進行の「1日=1年」。出生からN日後の空を、N歳のときの心の状態として読み替えます。たとえば30歳のテーマを見るなら、生まれて30日後の空を手がかりにする、というやり方です。そのぶん、そこに映る動きは実際の空よりずっとゆるやかです。劇的な出来事の予告というより、内面がじわじわ変化していく過程を映し出す技法だとされます。
この技法では、進行の月がどのサインへ移ったかがよく注目されます。進行の月はおよそ2年半で隣のサインへ移り、その節目が心の成長や関心の移ろいのテーマを示すとされます。水のサインから火のサインへ移るときは、内省を深める期間から、行動や表現を求める期間へと気分の質が変わっていく、と読まれることが多いです。
もうひとつ、ソーラーリターンは、運行中の太陽が出生時の太陽の位置へぴたりと戻る瞬間(毎年の誕生日ごろ)の空で図を立て、「これからの一年」のテーマを読む技法です。誕生日そのものではなく、太陽が出生時とまったく同じ度数へ戻る瞬間を厳密に計算する点が特徴で、暦のうえの誕生日とは時刻がずれることも珍しくありません。
いずれの技法も「傾向・テーマ」を読むためのもので、何がいつ起こるかを言い当てるものではありません。本サイトの無料作成はネイタル(出生図)が対象です。トランジットやプログレッションは、そのネイタルを土台にした次のステップとして位置づけられます。