度数ごとに宿るイメージ
ふつう占星術は、天体が「どのサインにあるか」を見ます。サビアンシンボルは、そこからさらに踏み込んで、「サインの何度にあるか」という一度単位に注目します。
黄道は360度。その一度ずつに、牡羊座1度から魚座30度まで、ぜんぶで360のシンボルが割り当てられています。その一つひとつは、自然の風景や人物のしぐさ、日常の一場面といった、絵画のように具体的な情景の言葉です。自分の太陽や月が「ちょうど何度にあるか」を調べ、その度数のシンボルを、自分への詩的なメッセージのように味わう。それがサビアンシンボルの使い方です。
1925年、一日で生まれた360の物語
サビアンシンボルの誕生には、印象的な逸話があります。1925年、アメリカ・サンディエゴのバルボア公園で、占星術家マーク・エドモンド・ジョーンズ(1888〜1980)と、霊媒として活動していた女性エルシー・ホイーラーの二人によって、わずか一日でつくられたと伝えられます。
ジョーンズは360度ぶんのカードを用意し、ホイーラーはどの度数かを知らされないまま、伏せられたカード一枚ずつに「心に浮かんだ情景」を語っていった。こうして360のシンボルが書き留められたといいます。後にジョーンズは『The Sabian Symbols in Astrology』(1953年)として体系化し、20世紀後半には占星術家デーン・ルディアがこれを現代的に読み直しました。本事典の占星術家・名著ガイドにも関連項目があります。
自分だけの一行に出会う
サビアンシンボルの魅力は、自分の天体が宿す度数に、たった一つの「物語」が結びついている点にあります。同じ太陽星座でも、度数が一度違えばシンボルは別もの。そこに、唯一無二の手ざわりが生まれます。
占星術のなかでも、サビアンシンボルは少し変わった存在です。論理で組み立てる多くの技法と違い、これは直感とイメージから生まれた、詩のような体系だからです。だからこそ、理屈で読み解くより「この情景は自分にとって何を思わせるか」と感じてみるのが向いています。同じシンボルでも、受け取る人によって響く部分が違ってよい。その自由さが、長く愛されてきた理由のひとつです。
これは未来を言い当てるものではありません。けれど、自分の星に与えられた一行の詩を受け取ると、ふだん言葉にならない自分の核に、ふっと触れる感覚があります。理屈で割り切る読み方とはひと味違う、イメージで自分を感じ取る入り口。それがサビアンシンボルです。自分の天体が何度にあるかは、出生図ではっきりします。まずは「無料のホロスコープ作成」で、あなたの太陽や月の度数をのぞいてみてください。