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アルカイド(ベネトナシュ)(恒星)
Alkaid (Benetnash)・北斗七星の柄の先端、棺を悼む娘たちの長
所属星座
おおぐま座(η星)
視等級
約1.86(青白色・B3V型)
黄道上の位置(トロピカル・目安)
J2000基準で乙女座 約26度56分(2050年で約27度39分)
伝統的な性質
おおぐま座は火星的(プトレマイオス/ロブソン)。ベヘニアン星としては金星・月的(アグリッパ)
この記事の内容: 天文と神話占星術での意味チャートでの読み方関連する星・用語
天文と神話
アルカイドはおおぐま座のη星で、北斗七星の柄の先端、熊の尾の先にあたる星です。視等級はおよそ1.86の2等星、スペクトル型B3Vの青白い主系列星で、地球からの距離はおよそ104光年とされます。自転が非常に速く、赤道方向に膨らんだ形をしていると考えられています。北斗七星を形づくる星の多くは「おおぐま座運動星団」として空間的に共通の運動をしていますが、アルカイドはこの群れに属していません。そのため遠い未来には、見なれた北斗七星の形もゆっくり崩れていくと考えられています。名はアラビア語のカーイド・バナート・ナアシュ、「棺を悼む娘たちの長」に由来します。古代アラビアでは、ひしゃく形の器の部分を棺(ナアシュ)、柄をなす三つの星をその葬列に従う娘たちと見立てており、先頭に立つのがこの星でした。ベネトナシュ、エルケイドといった別名も、同じ呼び名の別々の部分に由来します。一方ギリシャ神話では、おおぐま座はカリストーの変じた姿として語られ、アルカイドはその長く伸びた尾の先端に置かれています。
占星術での意味
プトレマイオス『テトラビブロス』の恒星の記述では、おおぐま座の星々は火星の性質を帯びるものとして扱われました。ヴィヴィアン・ロブソン『The Fixed Stars and Constellations in Astrology』はこの伝統を受け、おおぐま座について、静かで思慮深く、用心深く、自制的で忍耐強い性質を与える一方、いったん怒りに触れると強い憤りと報復の思いが表れる、と紹介しています。ロブソンは同じおおぐま座の項で、カバリストがこの星座にヘブライ文字ザインとタロットの第7「戦車」を結びつけてきたことも書き添えています。他方、アグリッパ『隠秘哲学三書』が伝えるベヘニアン恒星の一覧では、この星は「大熊の尾」として金星と月に対応づけられ、宝石は磁石(ロードストーン)、植物はチコリが結びつけられています。20世紀のエバーティンの恒星研究では、火星・天王星・土星的な質が挙げられ、死と喪の主題と関連づけられたと紹介されてきました。同じ星が火星的とも金星・月的とも語られてきたのは、星座ごとに性質を割り当てる伝統と、護符の対応表をつくる伝統とで系統が異なるためで、どちらか一方だけが正しいというものではありません。
チャートでの読み方
恒星を出生図で読むときは、伝統的に1〜2度以内という狭いオーブ、とくにを重視します。太陽・月やアセンダント・MCといったアングルにアルカイドが狭く重なる配置は、その天体やアングルの示すテーマに、この星に託されてきた象徴の色合いが加わると読まれてきました。位置は歳差により約72年で1度進み、資料ではJ2000で乙女座26度56分、2050年で乙女座27度39分とされています。2020年代なら乙女座27度台の前半にあたる計算になりますので、実際の鑑定では出生年に応じた度数で重なりを確かめてください。乙女座の末に近い位置のため、レグルスが乙女座0度付近へ移ったのと同じく、サインの境界をまたぐ扱いには注意が必要です。伝統の記述には激しい語も含まれますが、恒星との重なりが出来事や性格を決めるものではなく、象徴を読み解く手がかりとして扱われます。
関連する星・用語
アルカイドは、中世の天文魔術で重んじられた15のベヘニアン恒星の一つに数えられ、アルゴルやスピカ、アークトゥルスなどと同じ系譜の中で語られてきました。天の四方を見張るとされる四王星には含まれませんが、北天でもっとも見つけやすい星の並びの端にあるという点で、実際に空を見上げながら学ぶのに向いた星です。柄をたどればミザール、アリオトと続き、ミザールは肉眼で寄り添う伴星アルコルを見分けられることでも古くから知られてきました。恒星そのものの考え方は用語「恒星(フィクストスター)」を、出生図での具体的な扱い方はコラム「恒星(フィクストスター)とは」をあわせてご覧いただくと、アルカイドの位置づけがより立体的に見えてきます。
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関連する用語・コラム
恒星(フィクストスター)とは ロイヤルスター(四王星)とは ベヘニアン恒星とは 恒星を読む(コラム)
参考文献:英語版Wikipedia「Alkaid」:おおぐま座η星、視等級1.86、スペクトル型B3V、距離約103.9光年、名の由来(Arabic「棺を悼む娘たちの長」)、おおぐま座運動星団に属さない旨 https://en.wikipedia.org/wiki/Alkaid / Star Facts「Alkaid (Eta Ursae Majoris)」:北斗七星の柄の先端・熊の尾、青白いB3V主系列星、高速自転、別名Benetnash / Elkeid https://www.star-facts.com/alkaid/ / Constellations of Words「Alkaid」:トロピカル黄経 1900年 乙女座25度31分/2000年 乙女座26度56分、等級1.9、プトレマイオスによる「おおぐま座は火星のよう」、ロブソンがおおぐま座の項で紹介するカバリストの対応(ヘブライ文字ザイン・タロット第7「戦車」)、エバーティンの火星・天王星・土星的という記述 https://www.constellationsofwords.com/alkaid/ / Astrology King「Fixed Star Alkaid」:2000年 乙女座26度56分/2050年 乙女座27度39分、ベヘニアン15星の一つとしての対応物(ロードストーン・チコリほか) https://astrologyking.com/alkaid-star/ / 英語版Wikipedia「Behenian fixed star」:アグリッパ『隠秘哲学三書』に基づく15星の一覧。Alkaid(大熊の尾)は金星・月に対応し、宝石は磁石、植物はチコリ https://en.wikipedia.org/wiki/Behenian_fixed_star / Vivian E. Robson『The Fixed Stars and Constellations in Astrology』(1923)おおぐま座およびアルカイドの項 / 本事典の用語「恒星(フィクストスター)」「ベヘニアン恒星」「ロイヤルスター(四王星)」およびコラム「恒星を読む」に準拠
監修:編集部(占星術担当)最終更新 2026-09-05
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