アルデバランは、おうし座の「目」の位置で赤橙色に輝く一等星(おうし座α星)です。視等級は約0.86で、地球から約65光年の距離にある年老いた橙色巨星にあたります。名はアラビア語で「後に続くもの(al-Dabarān)」を意味し、すぐ西のプレアデス星団(すばる)を追って昇ることに由来します。神話では燃える牡牛の目とされ、V字に並ぶヒアデス星団を顔として、雄牛に姿を変えたゼウスが大地を駆ける姿と結びつけられてきました。名の由来となったプレアデスにも
個別のページがあり、同じおうし座の星として読み比べられます。
伝統占星術では、アルデバランはプトレマイオスにより火星の性質を持つとされ、四王星(ロイヤルスター)の一つ「東の番人(Watcher of the East)」に数えられます。古代ペルシアでは天を四分して見張る守護星とされ、春分点付近の方角を担いました。ロブソンら恒星占星術の古典では、勇気・名誉・弁舌・高い地位をもたらす「成功の星」とされる一方、その栄光には「誠実さを保てるかぎり」という条件が付くと繰り返し語られてきました。
この条件は、四王星に共通する語られ方でもあります。
ロイヤルスター(四王星)の項にあるとおり、レグルスには復讐心に走らないこと、フォーマルハウトには自らの動機に注意深くあることが添えられ、王星の栄光はその力をどう使うかとひと続きで語られてきました。アルデバランの場合、それが誠実さという形をとるわけです。
恒星は、出生図の天体やアングル(ASC・MCなど)と狭いオーブ(伝統的に1〜2度以内、とくに合)で重なったときに働くと読みます。アルデバランがそうした位置にあると、誠実さに支えられた野心や、真っ直ぐな主張で評価を得る資質として描かれることが多い星です。現在のトロピカル黄道ではふたご座9〜10度付近にあり、歳差で約72年に1度進みます。対岸のアンタレス(さそり座の心臓)とは天空で向かい合い、東西の番人として一対で論じられます。これは伝統的な象徴であり、運命を断定するものではありません。
調べる順番は単純で、出生図の天体とアングルのうち、ふたご座9〜10度付近に来ているものを探すだけです。
無料のホロスコープ作成で出した度数の一覧を、ふたご座の欄から順に見ていけば足ります。注意したいのはアセンダントとMCで、この二点は出生時刻しだいで位置が変わるため(
アングル)、時刻の裏づけが弱いチャートでは、軸との合を根拠にした読みを深追いしないほうが無難です。
重なる天体によって、同じ星でも色合いの出方が変わります。太陽との合なら、太陽が示す自己表現に誠実さを軸にした野心が重なると読み、MCとの合なら、社会的な役割や評価のされ方にその色がにじむ、と見ます。重なりが見つかったら、合になった天体のサインやハウス、ほかの天体との角度もあわせて眺め、恒星一つで人物像を決めないようにします。対岸の
アンタレスは現在いて座9〜10度付近にあり、向かい合う一対は、片方を読むときにもう片方の性質も意識しておくと全体を見渡しやすいとされます。
アルデバランは、四王星の他の三星であるレグルス(しし座・北)、アンタレス(さそり座・西)、フォーマルハウト(みなみのうお座・南)と並べて学ぶと理解が深まります。また中世の魔術書では特別な力を持つとされた「ベヘニアン恒星」十五星の筆頭にも数えられ、対応する宝石はルビーやガーネット、ハーブはミルクシスル(オオアザミ)とされました。恒星の全体像は用語集の
恒星(フィクストスター)やコラム
恒星(フィクストスター)とはで、四王星の概念は「ロイヤルスター」で補えます。