フィルダリア(フィルダール)は、人生を天体ごとの大きな期間に区切り、その期間を受け持つ天体を手がかりに章ごとのテーマを読む
タイムロード技法です。ペルシア・中世由来の技法で、定義としくみは
フィルダリア(惑星周期)とはにまとめています。昼生まれは太陽から、夜生まれは月から始まり、
カルデア順に沿って時の主が交代します。期間の長さは太陽10年・金星8年・水星13年・月9年・土星11年・木星12年・火星7年で、これにドラゴンヘッド3年とテイル2年を加えて合計75年の配列になります。この技法が答えようとするのは、いま自分が人生のどの章にいるのか、という問いです。特定の日付を言い当てるためではなく、数年単位の長い区切りをつかむために使われてきました。トランジットのように日々動く指標とは役割が違い、腰を据えて向き合う時期のまとまりを示すもの、と位置づけると扱いやすくなります。
見る順序を決めておくと迷いません。最初に、いま進行中の主期を受け持つ天体が出生図でどう置かれているかを読みます。サイン、ハウス、
ディグニティ、他の天体とのアスペクト。この四つがそろえば、その章がどんな条件のもとで進むのかの見当がつきます。次に、主期の内側を七つに分けたサブピリオドの支配星を見ます。主期の天体が章の主題だとすれば、サブピリオドの天体はその主題に差す色合いにあたり、二つの天体が出生図でどんな関係にあるか(アスペクトを持つか、レセプションがあるか、同じハウスに集まるか)が読みの中心になります。強弱は、出生図での状態が良く整っている天体ほど、その期間のテーマが扱いやすい形で現れると解釈されます。逆に、出生図で困難な条件を抱えた天体の期間は、その天体が示す領域に手間がかかる章として読まれます。主期の切り替わりの前後は、二つの天体の性質が入れ替わる境目として注目されることが多く、前の章の課題がどこまで片づいたかを振り返る目印にもなります。いずれも象徴的な読みであり、出来事そのものを決めるものではありません。
手順は四つです。第一に、セクト(昼夜の別)を判定します。出生時刻の太陽が地平線より上にあれば昼、下にあれば夜で、これによって起点が太陽か月かが決まります。ここが逆になると配列全体がずれるため、出生時刻は必ず確認してください(
セクトの判定手順は用語集にあります)。第二に、起点の天体から年数を順に積み上げ、自分の満年齢がどの主期に入るかを数えます。第三に、その主期の年数を七等分して、いまどのサブピリオドにいるかを出します。第四に、該当する二つの天体を出生図で確かめます。手を動かして確かめたいときは、過去にさかのぼって主期の切り替わりの年を書き出し、自分の記憶に残っている生活の変わり目と並べてみる方法があります。合うかどうかを見るというより、その天体のテーマが当時どんな形で立ち上がっていたかを言葉にしてみる作業です。多くのソフトはセクトの判定から期間の一覧までを自動で出してくれるので、実務では計算そのものより、出てきた天体を出生図で読むことに時間を使うほうが実りがあります。
無料のホロスコープ作成で出生図を出し、主期の天体の居場所から確かめていくとよいでしょう。年ごとの区切りを見る
プロフェクションや
ソーラーリターンと重ねると、長い章の中のどこに山があるかを絞り込みやすくなります。重ね方の段取りは
年の運びを読む三つの方法で扱っています。
まず、ドラゴンヘッドとテイルの期間(
月のノード)の扱いには流派差があります。配列に含めるかどうか、含めるとして順序のどこに置くか、サブピリオドを設けるかどうかで説明が分かれており、本事典では一つに断定しません。参照する文献がどの立場を取っているかを先に確かめてください。サブピリオドの割り当て方についても、伝承の系統によって説明に幅があります。また、配列は75年で一巡するため、それ以降の年齢をどう扱うかは文献により記述が異なります。技法の伝わり方としては、アブー・マーシャルら中世ペルシア・アラビア語圏の著作を経て英訳で紹介された流れがあり、その背景は
アブー・マーシャルのページと
技法の対応表を参照してください。実務上の注意は、セクト判定が起点を左右する以上、出生時刻が不確かな場合は結論を急がないことです。
フィルダリアの使いどころは、日々の判断より、数年単位で自分の重心を眺めることにあります。いまの章を受け持つ天体が分かると、この数年で向き合っている領域に名前がつき、うまく進まない時期も「この章の課題」として距離を置いて眺めやすくなります。主期の切り替わりが近い年は、生活や仕事の枠組みを見直す区切りとして意識しておくと、変化に気づきやすくなるでしょう。年単位の技法と組み合わせるなら、長い章をフィルダリアで、その中の一年をプロフェクションやソーラーリターンで見る、という重ね方が扱いやすい形です。占星術は結果を保証したり進む道を決めたりするものではありませんが、長い時間の中で自分がどこにいるかを確かめる地図としては、静かに役立ってくれます。