この時期に高まるエネルギー
自分らしさの中心に、好きなものを選ぶ感覚がゆっくり重なっていくのが、進行の金星がネイタルの太陽に触れる2年前後です。
金星の歩みは、出生後の1日を人生の1年として読む二次進行では、1年に最大約1.2°です。一つの角度に1°前後の幅で留まる期間は2年前後あり、その間に好みの基準が少しずつ入れ替わっていきます。ネイタルの太陽は出生図で固定された点で、働きかけるのは動いてくる金星のほうです。角度は合・45°・90°が中心で、強く出るのは合と90°、45°はささやかな形にとどまります。
オポジションは、この組み合わせでは一生のうちに起きません。進行の金星は進行の太陽から約47°より遠くへは離れず、その進行の太陽も80年で約80°しか進まないので、ネイタルの太陽の反対側には届かないからです。135°まで開くこともまずありません。
太陽は生きる目的と自己表現、金星は好みと人に好かれ方、お金の感覚を担います。ここで問われるのは「人にどう見られたいか」より、「何を好きでいる自分なら納得できるか」です。休日をどう過ごすか、どの仕事に時間をかけたいか、といった選び方の一つひとつが、自分の輪郭を描く材料になっていきます。
合の2年前後は、好きなことと進みたい方向がそろい、迷いが減ります。90°では、家族や職場から期待される役割と、本当は時間を使いたいことが食い違い、どちらを先にするかで揺れやすくなります。
起こりやすい出来事・テーマ
まず変わりやすいのは、余暇の使い方です。子どもの頃に好きだった絵や楽器、手芸などを、誰に見せるあてもなく再開する人がいます。続けるうちに、それをしている時間の自分がいちばん無理をしていないと気づく、という順で進みます。
働く場面では、同じ忙しさでも、好きな分野の仕事は疲れが残りにくいことに気づきやすくなります。希望を出して担当を寄せる、得意な作業を引き受ける回数を増やすなど、時間の配分が好みの側へ少しずつ傾いていきます。
家の中では、家族の好みに合わせて選んできた献立や飾りに、自分の好きなものを混ぜたくなります。遠慮しながら一品足してみたら、思いのほか喜ばれた、という小さな経験が、好みを表に出す自信につながります。
年下の人や子どもと過ごす時間に、好きなことを分け合う流れも出ます。一緒に作る、教える、見せるといった場面で好みが相手に伝わり、その反応が自分を知る鏡にもなります。
つまずきやすいのは、楽しみに時間を使う後ろめたさです。90°の頃は家事や仕事を後回しにしたと自分を責めがちで、45°の頃は予定の隙間に楽しみを詰め込みすぎて、かえって慌ただしさが残ります。
生まれて間もなく金星が逆行に転じていた人は、その日数に当たる年齢で、進行の金星も向きを変えます。向きが変わる前後は、度数がほとんど動かない年がしばらく続くので、太陽への同じ角度が長引いたり、二度三度と巡ったりすることがあります。その年齢は一人ひとり違います。
このエネルギーの活かし方
好きなことに使う時間を予定表に先に書き込むと、この配置は自分を知る手がかりとして働きやすくなります。
空いた時間に楽しむのではなく、楽しむ時間を先に確保して、残りに用事を入れていく順番に変えてみてください。後ろめたさは、時間が決まっているだけで小さくなります。
90°で役割と楽しみが綱引きになるときは、どちらかを削るより、役割の中に好きな要素を一つ持ち込むほうが続きます。家事なら好きな器を使う、仕事なら得意な工程を自分の担当にする、といった混ぜ方です。
続けていることは、写真や短いメモで残しておくと、2年前後のうちに好みがどこへ向かったのかが見えてきます。作ったもの、行った場所、読み返したくなった本など、何でも構いません。
楽しみを人と分け合う場は、大きくなくて大丈夫です。家族に一品ふるまう、友人に作ったものを渡す、という範囲でも、好みは言葉以上に伝わります。
この時期に選び直した楽しみは、数年たって振り返ると、自己紹介でいちばん先に話したくなるものになっていることがあります。