この時期に高まるエネルギー
出生図の水星に進行の金星が触れる頃は、聞き手の心地よさを考えて言葉を選ぶ癖が、ゆっくり身につきやすくなります。
人生の1年を出生後の1日に重ねる二次進行で、金星が進むのは1年に最大約1.2°です。水星との一つの角度は2年前後かけて働くので、話し方の変化も急ではなく、周りが先に気づくような静かな育ち方をします。触れる角度は合・45°・90°が中心で、135°まで開くのはまれです。強いのは合と90°で、45°は口癖や相づちの小さな変化として表れます。
この組み合わせでは、オポジションは起きません。ネイタルの水星は出生時の太陽から約28°以内、進行の金星は進行の太陽から約47°以内にあり、進行の太陽も80年で約80°しか進まないため、両者が反対側まで離れることがないからです。
水星は考え方と話し方、情報の扱いを、金星は好みと人に好かれ方を表します。動いてくるのは金星で、ネイタルの水星はその歩みを受けとめる側です。何を言うかに加えて、どんな声で、どんな間合いで言うかに気が回るようになり、話すことより聞くことのほうに楽しさを見つける人もいます。
会話の居心地がよくなるのは合の頃で、相手の言葉を受けとめてから返す余裕が生まれます。90°の頃は、角を立てたくない気持ちが強すぎて、頼みごとが遠回しになり、肝心な点が伝わらないことがあります。45°では、聞き役に回りすぎて自分の話をしそびれる、といった小さな物足りなさが残ります。
起こりやすい出来事・テーマ
家族やパートナーとの会話に、変化が出やすくなります。食卓での話題が、用件の確認から、その日にあったよかったことへ移る、子どもの話を最後まで聞いてから返す、といった具合です。言い方を少し変えただけで、家の空気がやわらぐのを感じる人もいます。
名前を覚えたくなる、という形でも表れます。花や色の名前、器の産地、曲の作り手など、好きなものを言い表す言葉が増えていきます。語彙が増えるほど、自分が何に惹かれるのかを人に伝えやすくなります。
声の出し方も変わります。早口だった人が少しゆっくり話すようになる、電話の声がやわらかいと言われる、といった変化です。声や話す速さは本人には分かりにくいので、身近な人のひと言で気づくことが多くなります。
趣味の集まりや地域の場では、初めての人に話しかける役を自然に引き受けることがあります。相手の名前を覚えて呼ぶ、共通の話題を見つけるといった小さな気配りが、場をなごませます。
声に出して読む楽しみに目覚める人もいます。子どもに絵本を読む、好きな詩を口ずさむ、歌詞を覚えて歌うなど、言葉の響きそのものを味わう時間が、気分転換として効いてきます。
一方で、90°の頃は、家族への頼みごとを遠回しに伝えて、結局自分でやる羽目になる、という場面が出がちです。やわらかさが、あいまいさにすり替わっていないかを見ておく必要があります。
このエネルギーの活かし方
相手の話を受けとめるひと言を用意しておくと、この時期のやわらかさが会話の力になります。
「それでどうなったの」「いいね、もう少し聞かせて」といった返しを、自分の言葉で一つ二つ持っておくと、聞き役の楽しさがはっきりします。話を途中で引き取りたくなったときの、ブレーキにもなります。聞き役に回りすぎたと感じた日は、別れ際に自分の近況を一つだけ添えて帰ると、物足りなさが残りません。
家族への頼みごとは、お願いの中身と理由を一緒に伝えてみてください。やわらかい言い方のままでも、何をしてほしいのかが一度で届くようになります。
覚えた名前は、手帳の後ろにまとめて書いておくと、2年前後のうちに自分だけの小さな辞書が育ちます。人に好みを説明するとき、その言葉がそのまま助けになります。
考えが散らかったときは、気持ちのよい道を歩きながら、誰かに話すつもりで頭の中でしゃべってみると、言いたいことの順番が整っていきます。
聞いてもらえた心地よさを知った人ほど、次は自分が相手の話を聞く番だと自然に思えるようになり、会話の往復が長く続いていきます。