ディセンニアル(デケナリア)は、ヘレニズム占星術の占星術家ウァレンスが伝えたとされる、タイムロード技法のひとつです。タイムロードとは、人生をいくつもの期間に区切り、その時期その時期を「受け持つ」主役の天体を割り当てて、流れを読む手法のこと。ディセンニアルでは「10年9ヶ月」というまとまった長さを基本の周期とし、その中を各天体が順に支配していくと読まれます。
この「10年9ヶ月」という、ふしぎな長さには理由があります。古典占星術では、それぞれの天体に「最小年数」と呼ばれる固有の年数が割り当てられていました。その七つの天体ぶんの最小年数をすべて足し合わせると、ちょうど10年9ヶ月になる、とされます。つまりディセンニアルの一周期は、天体たちの持ち分を寄せ集めた合計、というわけです。実際の読みでは、ロットなどを起点として最初の支配星を定め、そこから決まった順番で支配星を回していきます。大きな期間の中をさらに細かい小期間に分けて、二重三重に時の主役を見ていくのが、この技法の組み立てです。
タイムロードの技法で読むときの基本は、その期間を受け持つ天体が、出生図でどんな状態にあるかを見ることです。どのサインやハウスにいて、ほかの天体とどう関わっているかによって、その時期に前面へ出てくるテーマが変わると読まれます。
ディセンニアルのように、大きな期間と小さな期間が重なる技法では、二つの天体が出生図でどんな関係にあるかも照らし合わせます。たがいに角度を結んでいれば二つのテーマが結びつけて語られ、まったく関わりがなければ別々の話題が並ぶ時期として眺める、という見方もできます。起点に使うロットとその支配星の状態も、読みの出発点になります。
ロットは、天体のように空にある点ではなく、二つの点のあいだの距離を別の点から測り直して求める目印です。人生を章に分けて読む全体像は、
タイムロードが入口になります。
同じ時期の技法でも、組み立ては異なります。
フィルダリアは天体ごとに決まった年数を昼夜で始点を変えて並べ、
プロフェクションは誕生日ごとにハウスを一つずつ進めます。
ゾディアカルリリーシングは、起点のロットのサインから順に、そのサインの支配星の小周期(最小年数)を割り当てて進みます。たとえば牡羊座なら火星の年数、獅子座なら太陽の年数です。ディセンニアルが七天体の最小年数を合計してひとつの周期にするのに対し、こちらはサインを一つずつ渡っていく点が違います。
ディセンニアルは、フィルダリアやゾディアカルリリーシングと並ぶ、ヘレニズム〜中世のタイムロード技法のひとつに数えられます。それぞれ周期の取り方や起点の選び方が異なり、占星術家は複数を重ねて、共通して浮かび上がる時期に注目したともいわれます。やや専門的な技法ですが、古典の予測技法がいかに幅広かったかを示す好例といえるでしょう。これらはあくまで時期の主役を象徴的に読むための枠組みであり、特定の出来事を断定するものではありません。用語「ロット」「タイムロード」もあわせてどうぞ。