天頂(ゼニス)とは
天頂(ゼニス)は、観測者のちょうど真上にあたる、空の一点のことです。頭の真上を指すこの点は、地平線からの高さ(高度)が90度になります。地平線が高度0度、天頂が高度90度ですから、天頂は空のなかでもっとも高い方向ということになります。観測する場所が変われば、その人にとっての天頂の向きも変わります。つまり天頂は、地上のどこに立っているかによって決まる、その場所固有の基準点です。占星術のMC(ミッドヘブン)と混同されがちですが、厳密には別物です。MCは黄道と子午線が交わる点で、天頂そのものとは一致しないのがふつうです。真下にある「天底(ナディア)」とちょうど対をなす点とされ、天頂と天底を結ぶ線は地球の中心を通る垂直の軸にあたります。
天頂とMCのちがい
天頂は、その場所で空がもっとも高くなる方向、つまり頭の真上です。地平線から測った高度が90度になるところ、と覚えるとわかりやすいでしょう。これに対してMCは、太陽や星の通り道である黄道と、南北をつなぐ子午線とが交わる点を指します。MCを「天頂」と訳すことがあるため取りちがえやすいのですが、観測者の真上の点(本来の天頂)と、黄道上の点であるMCとは、ふつう同じ場所には来ません。黄道は天の赤道に対して約23.4度傾いているため、黄道上の点が頭の真上に来るのは限られた瞬間だけだからです。両者が重なるのは、特定の緯度や時期など、条件がそろったときに限られます。ホロスコープでMCという言葉を見かけたら、それは黄道上の位置を指しているのであって、空の物理的な真上そのものではない、と意識しておくとよいでしょう。この区別を押さえておくと、チャートのしくみがよりはっきり見えてきます。
緯度を知る手がかり
古代の天文学では、天頂を基準にして、太陽がいちばん高くのぼる「南中」のときの高度を測りました。その値から、観測している土地の緯度を割り出す手がかりとしたのです。天頂と天の北極とのあいだの角度が、おおよそその土地の緯度に対応するという関係が知られており、これは古くから航海や測量にも応用されてきました。天頂は、いまも空の方向を示す基準点として、天文学のなかで広く使われています。日時計や星図の読み取り、観測機器の据え付けなど、空の位置を語るときの出発点になる点だと考えるとよいでしょう。占星術では、頭上を指すこの点を、その人がもっとも高くのぼる場所、社会のなかで光を浴びる方向の象徴として読むこともありますが、これはあくまで象徴的な読みとされます。天頂とMCの違いを踏まえたうえで、それぞれの意味を切り分けて受け取ることが、誤解を避けるうえで役立ちます。用語「MC」「天底」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「無料のホロスコープ作成」から確かめられます。