水のエレメントとは
水のエレメントは、12のサインを火・地・風・水に分ける区分のうち、感情・共感・直感をつかさどるグループです。蟹座・蠍座・魚座の3つがこの水に属し、目に見えない心の流れを感じ取る質をあらわすとされます。
水が象徴するのは、理屈より先に動く気持ち、人と人とを結ぶつながり、過去をしまっておく記憶、そして言葉にならない情緒です。古い世界観では、水は「冷」と「湿」の性質を帯び、外へ広がるより内へ受けとめる「陰(内向)」の元素として整理されてきました。器に合わせて形を変える水のように、まわりの空気や相手の心をやわらかく映しとる感受性が、水のサインに共通する根の気質として読まれます。喜びも痛みも深く受けとめる繊細さは、水のエレメントならではの持ち味です。
3つの水をモダリティで描き分ける
同じ水でも、モダリティ(活動・固定・柔軟)と掛け合わさると、感じ方の表れ方は変わってきます。
蟹座は活動の水です。わき出す感情を行動へ向け、大切な人や場所を包み守ろうとする質を持つとされます。芽生えた気持ちから動きはじめる、いわば源流の水です。
蠍座は固定の水。心を一度注いだ相手とは深く強く結びつき、簡単には揺らがない密度を持つと読まれます。表面では静かでも、底に大きな水量をたたえた湖や淵にたとえられます。
魚座は柔軟の水。自分と他者を隔てる境を溶かし、あらゆるものへ共感を広げる質をあらわすとされます。海へと還り、すべてと混ざり合う水のイメージです。同じ感受性が、守る・結ぶ・溶かすと枝分かれしていきます。
古典がとらえた水の気質
古い世界観で水は、「冷(ひえ)」と「湿(うるおい)」というふたつの性質をあわせ持つ元素として整理されてきました。ここからもう一歩踏み込むのが、四体液説との対応です。冷と湿の組み合わせは、体内をめぐる四つの体液のうち「粘液(phlegm/フレグム)」に重ねられ、そこから導かれる気質が「粘液質(phlegmatic/フレグマティック)」と呼ばれます。ヒポクラテスに帰される体液説を、のちにガレノスが類型として整えた流れのなかで位置づけられてきた考え方です。
粘液質の人物像としては、穏やかでおっとりとし、まわりを受けとめる包容力に富み、情に厚く、人の気持ちを感じ取りやすい、といった像が伝統的に語られてきました。激しく波立つより、静かに満ちていく水のたとえがよく似合います。ただし、これはあくまで歴史的な気質論であって、現代医学とは別の世界観として読まれてきたものです。健康や性格を決めつける話ではなく、水の質感を言いあらわす古い言葉として味わってみてください。
現代・心理がとらえた水の感情
二十世紀に入ると、出生図を予言の書としてより、自己理解のための地図として読む流れが生まれ、水のとらえ方にも新しい言葉が重なりました。よく知られるのが、心理学者ユング(C・G・ユング)が『心理学的類型』で示した四つの心のはたらきのうち、「感情(feeling)」を水に対応づける読み方です。スティーヴン・アロヨらの心理占星術で広く採られてきました。
ここでいう感情とは、気分の浮き沈みのことではなく、ものごとに価値を感じ、好き・大切と評価する心のはたらきを指します。ユングの整理では思考とならぶ「判断の機能」とされ、人や物との関係のなかで「これは自分にとってどんな意味を持つか」を測るものさしにあたります。共感を通じて相手とつながり、関係性を大切にする。そんな水のあり方と響き合うとされます。ただしこの対応は占星術の側が後から採り入れたもので、論者により異論もあります。ひとつの有力な見方として受けとめておくとよいでしょう。
チャート全体のバランスとして読む
水のエレメントも、ひとつのサインだけでなく、チャート全体での配分として読まれることが多い区分です。太陽・月・水星・金星・火星などに水のサインが多く集まっていると、感情ゆたかで共感力が高く、人の心の機微を察しやすい傾向があると、あくまで象徴的に読まれます。
逆に水が手薄だったり、すっぽり抜けていたりする場合は、気持ちを表に出すより理屈で受けとめやすい傾向と読まれることがあります。これは長所・短所を決めるものではなく、抜けたエレメントを意識して補う「伸びしろ」として語られます。配分の数え方は用語「エレメント(元素)とは」、コラム「四元素(火・地・風・水)とは」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「無料のホロスコープ作成」から確かめられます。