十干(じっかん)は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十からなる、古代中国で生まれた数えのサイクルです。もとは、ひと月を上旬・中旬・下旬と十日ずつに区切るように、日を数えるための符号として使われました。やがて五行(木・火・土・金・水)の思想と結びつき、暦や占術の基本要素として、東アジアに広く根づいていきます。
十干は、五行のそれぞれに陰陽を掛け合わせると、ちょうど十になる、という形で説明されます。たとえば木には、陽の木である「甲(きのえ)」と、陰の木である「乙(きのと)」があります。火は丙(ひのえ)・丁(ひのと)、というように続きます。「きのえ」「きのと」の「え」「と」は、それぞれ兄(え)・弟(と)に由来し、これが「えと(干支)」という言葉のもとにもなりました。十干は、陰陽五行という東洋思想の骨格を、そのまま映した体系といえます。
十の並びは、五行を木・火・土・金・水の順にたどり、それぞれに陽と陰の二つを割り当てたものです。つまり「木・火・土・金・水」という五つの性質を、陽と陰の二つの顔で見分けるための目盛りが十干にあたります。五行そのものの考え方は
五行に、陰と陽の見方は
陰陽にまとめられています。
十干は、子・丑・寅……の十二支と組み合わさって「干支(えと)」をつくります。十と十二の最小公倍数である六十年で一巡し、甲子(きのえね)から始まるこの六十のサイクルは、暦や年代の数え方として長く使われてきました。数えで六十一歳の「還暦」は、生まれた年の干支に還ることを意味します。四柱推命では、生まれた日の十干(日干)がその人自身をあらわす中心とされ、運命を読む出発点になります。陰陽五行の土台を知る手がかりとして、覚えておきたい用語です。
組み合わせは、甲子から始まって乙丑、丙寅と、十干と十二支がひとつずつ同時に進んでいきます。十干は十で、十二支は十二で戻るため、二つの周期がちょうど重なるのは六十番目です。四柱推命の日柱のように、干支は年だけでなく日にも割り当てられるので、生まれた日の十干(日干)を知るには、その日の干支を暦から調べることになります。この六十の並びは
干支(十二生肖)でも解説しています。
西洋占星術のサインは、火・地・風・水の四元素に、活動・固定・柔軟という三つの動き方を掛け合わせた十二の個性でできています。十干は、五行に陰陽を掛け合わせた十の個性です。どちらも、素材となる性質と、あらわれ方のちがいを掛け合わせて体系をつくっている点で、よく似た構造をしています。四元素とモダリティのしくみは
エレメント(元素)にあります。
ただし、十干は暦の数え方から出てくるもので、西洋式のチャートに天体の位置から現れるものではありません。四柱推命で日干を読むには、生まれた日の暦が必要になります。たとえば生まれた日の十干が甲なら、陽の木をその人自身の象徴として、読みを始めることになります。十二支や四柱推命の詳しい解説は、
十二支と
四柱推命をあわせてどうぞ。