留(ステーション)とは
留(ステーション)は、天体が順行と逆行を切り替えるときに、空でいったん止まって見える瞬間のことです。前へ進んでいた天体が逆行へ転じる「留」と、逆行から順行へ戻る「留」の二つがあり、前者を逆行留(ステーション・リトログレード)、後者を順行留(ステーション・ダイレクト)と呼び分けます。歩く向きを変えるとき一瞬だけ足が止まるように、天体の見かけの動きがゼロに近づく時期で、そのぶん、その天体のあらわすテーマが濃く、強く出るとされます。留の前後は、その天体に関わることがゆっくり進む時期とも読まれます。なお太陽と月には逆行がないため、留も起こりません。留が生じるのは水星・金星・火星などの惑星と、木星から外側の天体に限られます。日付つきの暦であるエフェメリスでは、留の瞬間は経度が動かない印(多くは「S」や「D」「R」の記号)で示され、逆行期間の始まりと終わりの目印になります。
なぜ「止まって」見えるのか
留が起こるのは、地球と他の天体が、それぞれの速さで太陽のまわりを回っているからです。内側を回る速い地球が外の天体を追い越すとき、その天体が空で後ろへ下がって見える。これが逆行です。順行から逆行へ、また逆行から順行へと向きが切り替わるあいだには、見かけの動きがほとんど止まる瞬間があります。これが留です。実際に天体が止まるわけではなく、地球から見た角度の関係でそう見える、いわば視点のいたずらです。動きが最もゆっくりになるぶん、その天体は同じ度数の近くにしばらくとどまり、出生図の感受点に長く触れることになります。止まって見える期間の長さは天体によってちがい、動きの速い水星では前後数日ほどですが、土星や天王星のように遠くをゆっくり回る天体ほど、留に近い「ほぼ止まって見える」状態が一週間以上つづくこともあります。そのため外惑星の留は、特定の度数に長くとどまるぶん、出生図の感受点と重なるかどうかが読み手にとって意味を持ちやすくなります。地球を基準に空を眺める占星術ならではの見え方であり、太陽を中心に置けば、どの天体もただ一定の向きに回りつづけているだけです。
占星術での読まれ方
留は、その天体のテーマが前面に出やすい節目として読まれます。たとえば「水星が留に入った」なら、言葉や情報のテーマが、いつもより濃く意識される時期、というように読みます。動きが止まるときに、その天体の力が高まると考えるわけです。逆行へ向かう留は内側へ振り返る入り口、順行へ戻る留は再び前へ進む合図、と対にして眺めることもあります。とくに順行へ戻る留は、逆行のあいだ止まっていた物事が動き出すきっかけとして注目され、停滞からの再始動を象徴的に重ねて読む人もいます。トランジット(運行中の天体)の留が出生図の太陽や月、アセンダントといった感受点と同じ度数に近いと、その留はより個人的なテーマに結びつけて解釈されます。一方で、留はあくまで見かけの動きをめぐる象徴であって、何かを確実に決めるものではありません。日付や度数を手がかりに、自分なりのふり返りのリズムとして軽く取り入れるくらいが、無理のない付き合い方といえます。もっとも、これは象徴的な読みであり、特定の出来事を保証するものではありません。用語「逆行」「順行」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「無料のホロスコープ作成」から確かめられます。