サロスは、よく似た日食・月食が、ほぼ同じパターンでくり返される周期のことです。その長さは約18年11日(より正確には18年11日と8時間ほど)。太陽・月・月のノード(黄道と月の通り道が交わる点)の動きが、この期間でだいたい元の関係に戻るため、前の食とよく似た食が、また起こります。「サロス」と聞くと十八年に一度だけ大きな食が起こると思われがちですが、実際にはその間にも日食・月食はいくつも起きており、サロスが指すのはそのうちどれとどれが同じパターンを共有するかという結びつきの規則です。数のうえでは、新月から新月までの周期(朔望月)223回ぶんが、ちょうどこの長さにあたるとされます。古代バビロニア(カルデア)の天文学者たちは、すでにこのリズムを知っていて、食の予測に役立てていたと伝えられます。気の遠くなるような昔から、人は空のくり返しを読み、次の食がいつ訪れるかを数えていたのです。「サロス」という名そのものは、近代になって周期を指す言葉として広まったものとされます。
食が起こるには、いくつかの条件がそろう必要があります。新月か満月であること(朔望月=月の満ち欠けのリズム)、月が地球に近いか遠いか(近点月=月の距離のリズム)、そして月がノードの近くを通ること(交点月=食が起きられる位置のリズム)。太陽が黄道上でノードの近くに位置する期間は年に二回ほどしかなく、新月・満月がこの期間と重ならない限り食は起こらないため、毎月の新月・満月がそのまま食になるわけではありません。この三つのリズムが、約18年11日でほぼ同時にめぐり戻る。それがサロスの正体とされます。近点月がそろうことは見過ごされがちですが、月が地球に近いか遠いかは見かけの大きさを左右するため、皆既になるか金環になるかという食の顔つきまで、この巡り合わせが決めているとされます。だから一つの食から約18年11日後には、形も大きさもよく似た食が、再び空にあらわれます。ただし、半端な8時間のぶん地球はおよそ三分の一回転するため、起こる場所は西へ、経度にしておよそ120度ずれていきます。同じ系列の食が、回をかさねるごとに、ちがう土地の空をわたっていくわけです。三周ぶん、約54年たつとほぼ同じ地域へ戻ってくる、ともいわれます。
このくり返しを一本につないだものを、サロス系列(サロス・シリーズ)と呼びます。一つの系列は十数世紀=千年以上も続くことがあり、北極か南極のあたりの浅い部分日食として静かに生まれ、回を追うごとに食の中心が地球へ深くかかっていき、やがて反対の極で薄れて終わる。生まれ・育ち・盛り・衰え・終わりという、まるで一族の物語のような道のりをたどるとされます。そのあいだに七十回をこえる食が、同じ系列の名のもとに数えられます。ある年に起こる食は、その時々でちがうサロス系列に属しており、いくつもの系列が同時に、少しずつ進行しているとされます。占星術では、同じ系列に属する食どうしを「家系」のように捉え、共通のテーマが世代をこえて受け継がれていく、と読まれることもあります。同じ系列でも共通して受け継がれるのは太陽・月・ノードの配置という型であり、実際にその食がどのハウスや天体に重なるかは一回ごとに異なります。系列の最初の食を、その家系の出発点として重く見る読み方もあります。もっとも、これはあくまで象徴的な見方であり、特定の出来事や結果を断定するものではありません。一つひとつの食の意味は、ホロスコープ上の位置や他の天体との関わりとあわせて、ていねいに読み解いていきます。用語「日食・月食」「ノード」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「
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