赤経(ライト・アセンション)とは
赤経(せっけい、ライト・アセンション、英 Right Ascension)は、天の赤道に沿って、春分点を起点に東回りで測った天体の位置です。地球でいう経度にあたるもので、ふつう時・分・秒(24時間で一周)で表します。1時間ぶんが角度では15度に相当し、24時間で360度をぐるりと一周する計算です。南北の高さを示す「赤緯」と組み合わせると、天球上のどこに天体があるかを正確に指し示せます。黄道を基準にする「黄経」とは別の座標系で、星図や天文カタログでは、天体の位置はこの赤経と赤緯の組で記録されているのがふつうです。記号としてはギリシャ文字のα(アルファ)、または R.A. と略して書かれます。地上の住所が緯度と経度の二つの数字で決まるように、星にも赤経・赤緯という二つの目盛りが割りふられている、と思えばイメージしやすいでしょう。
天の赤道で測るものさし
赤経は、黄道を基準にする黄経・黄緯に対して、地球の赤道を空へ延ばした「天の赤道」を基準にする座標です。基準点となる春分点は、天の赤道と黄道が交わる二つの点のうち、太陽が南から北へ横切る側のほう。ここを0時として、東回りに天体までの角度を測り、それを時間の単位に置きかえたものが赤経です。空全体を24時間に区切るので、たとえば赤経6時の天体は、春分点から東へ四分の一めぐったあたり、と読めます。なぜ「時間」で測るのかといえば、天球は地球の自転に合わせておよそ24時間で一回りするため、赤経の値がそのまま「その天体がいつ南中するか」の目安になるからです。地上から見ると、星々は赤経の小さい順に東から昇っていく。時計の文字盤のように、空の回転とそのまま結びついた目盛りといえます。なお春分点は歳差というゆっくりした首振り運動で少しずつずれていくため、天文カタログでは「分点2000年(J2000.0)」のように、いつの春分点を基準にした値かが必ず添えられます。
占星術での使われ方
占星術では、赤経はMC(天頂)やASC(上昇点)の算出、ハウス分割、プライマリーディレクションなどの古典技法を支える土台として使われます。ホロスコープの多くはふだん黄経で描かれますが、その裏側では、天の赤道を基準にした計算が静かに働いています。とりわけプライマリーディレクションは、天球が一日に一回転する動きをそのまま「時」のものさしに見立てる技法で、赤経や赤緯の値が欠かせません。天体が地平線や子午線をいつ通過するかを割り出すうえでも、黄経だけでは足りず、赤道座標への変換がどうしても必要になります。こうした座標は象徴そのものを直接語るものではなく、チャートを正しく組み立てるための骨組みにあたります。ふだん意識することは少なくても、ホロスコープの精度を陰で支えているのが、この赤経という地味な目盛りなのです。用語「赤緯」「天の赤道」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「無料のホロスコープ作成」から確かめられます。