敵対のロットは、敵対・対立・隠れたトラブルといったテーマをあらわすとされる、古典占星術のトピック別ロット(アラビックパート)のひとつです。味方をあらわす「友情のロット」と対をなし、人間関係の「向かい風の側」を読む手がかりとされました。古典では、味方と敵を一対のロットとして対照させることで、人間関係に働く力のバランスをとらえようとしました。
ロットは、二つの天体のあいだの距離(弧)を、アセンダントから測り直して導く象徴的なポイントです。敵対のロットも、特定の天体の位置とアセンダントを使って計算されますが、用いる天体や、昼生まれと夜生まれで式を入れ替えるかどうかは、流派によって扱いが分かれます。対になる友情のロットと並べて見ることで、味方の感応点と敵対の感応点を見比べ、追い風と向かい風の両方を見渡せるようにする発想です。
二つの点を対にして読む発想は、ほかのロットにもあります。たとえば
パート・オブ・スピリットは、フォーチュンと向きを逆にして求める対の点です。味方と敵、心と体のように、反対の性質をもつ二つを組にして読むのは、ヘレニズム占星術のロットに見られる整理の仕方です。昼夜で式を入れ替える仕組みは、
ロットの昼夜公式にまとめています。
古典では、第12ハウスが、隠れた敵・見えにくい困難・水面下の事柄をあらわすとされ、敵対のロットは、その意味を一点に絞って見るための補助として使われました。これはあくまで象徴的な読みであり、特定の人物を「敵」と決めつけるための道具ではありません。どこに注意を向けておくとよいか、その当たりをつけるための手がかりとして扱うのが穏当です。第12ハウスとあわせて読むと理解しやすくなります。
敵のあらわれ方には、表に出るものと、水面下にとどまるものがあります。古典のハウス別の割り当てでは、公然の敵はパートナーシップや訴訟を担うハウス、隠れた敵は第12ハウスに集められていました(
ハウスの意味を流派別に比べたコラム)。敵対のロットがどのハウスに入るかを見ると、対立のテーマが表の場面に近いのか、見えにくいところに沈んでいるのかの、おおまかな当たりがつきます。
たとえばロットが第12ハウスそのものに入っていれば、ハウスとロットがそろって水面下の事柄を指すことになり、表立たない摩擦のテーマが強調される配置と読めます。どの場合も、避けるべき相手を探すのではなく、摩擦が起こりやすい場面に前もって目を向けるための手がかりとして使います。
読む手順としては、ロットが入っているサインとハウスを確かめ、そのサインのルーラーがどのハウスにいて、どんな角度を結んでいるかをたどります。たとえばロットが蠍座なら、伝統的なルーラーは火星です(
ルーラー(支配星)とは)。そのうえで友情のロットの位置も並べると、人間関係のどこに支えがあり、どこに注意が要るかを、一組の地図として見渡せます。
似た名前の点と混同しないことも大切です。土星を起点にする
ネメシス(応報)のロットは、隠れた障害や衰退をあらわす別の点で、人間関係の味方と敵を一対で見る敵対のロットとは、題材が違います。友情のロットとあわせて、どちらの点を読んでいるのかを区別しておくと、解釈が混ざりません。