ダシャー(運気期間)とは
ダシャーは、インド占星術(ジョーティシュ)で、人生を惑星ごとの期間に区切って流れを読む「時」の技法です。サンスクリット語で「状態」「局面」を意味し、いまどの惑星が支配する時期を生きているかによって、人生の主なテーマが移り変わると考えます。各期間はさらに、内側でより短い惑星期(サブ期間)へ細かく分かれ、いくつもの層が入れ子になっています。空の今の動きを重く見る西洋占星術に対し、ダシャーは生まれた瞬間から定まる時間割を土台にする、という違いがあります。出生時の月の位置をもとに「いつ、どの惑星のテーマが前に出るか」をあらかじめ割り振るため、その人だけの固有の時間割として読まれるのが特徴です。
惑星ごとの時間割というしくみ
ダシャーには多くの種類がありますが、月の位置(ナクシャトラ)から導くヴィムショッタリ・ダシャーがもっとも広く使われます。これは九つの惑星(太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星と、月の交点であるラーフ・ケートゥ)に年数を割り当て、全体で百二十年の周期をなす体系です。各惑星の大期間(マハー・ダシャー)の長さは決まっており、たとえば月は十年、金星は二十年、水星は十七年、土星は十九年といったように配分されます。出生時に月があるナクシャトラの支配星から最初の期間が始まり、月がその領域のどこまで進んでいたかで、最初の期間の残りの長さが決まります。大きな区切りであるマハー・ダシャーが土台で、その内側に、より短いアンタル・ダシャー(サブ期間)が入れ子のように重なります。たとえば「木星の大期間のなかの土星の小期間」というように、二つ以上の惑星の組み合わせで、いまどんなテーマが前に出やすいかを読みます。支配する惑星が出生図でどんな状態にあるか、どのハウス・サインに置かれているかとあわせて、慎重に意味を組み立てていきます。
時期を読む中心の技法として
ダシャーは、西洋占星術のプログレッションやトランジット(用語「未来をどう読む?」)に近い役割を担い、いつ何が動きやすいかを見る、時期読みの中心的な技法とされます。出生図そのものが「持って生まれた素質の地図」だとすれば、ダシャーはそれが「いつ表に出やすいか」を示す時計のようなもの、と読まれます。実際の鑑定では、いま走っている大期間と小期間の支配星をまず確かめ、その惑星が出生図のどのハウス・サインで、どんな状態にあるかを重ねて、その時期に意識が向きやすいテーマを描きます。さらにトランジット(運行中の惑星の位置)と照らし合わせることで、読みに厚みを持たせることも多いとされます。もっとも、これは象徴にもとづく読みであり、特定の出来事を断定するものではありません。あくまで人生のテーマや流れを考えるための見取り図として用いるのがよいでしょう。用語「ヴィムショッタリ・ダシャー」「未来をどう読む?(コラム)」もあわせてどうぞ。自分のチャートは「無料のホロスコープ作成」から確かめられます。