この時期に高まるエネルギー
トランジット火星がネイタル太陽にセクスタイル(60°)を結ぶ時期は、「そろそろ動こうか」という内側の声が、いつもより行動に結びつきやすくなる期間とされます。太陽は自分の意志や、人生の中心に据えたい目的をあらわし、火星は踏み出す力、競う力、体を動かす力をあらわします。合のように火がいきなり燃え上がるのではなく、スクエアのように摩擦で押されるのでもなく、背中を軽く押される程度の追い風です。そのぶん、自分から動いたときにだけ手応えが返ってくる角度でもあります。
太陽へのこの角度は、約2年かけて一周する火星の周期のなかで2回できます。通過の中心は数日から1週間ほどで、火星が逆行に入る回は、前後して同じ度数に当たるため、数週間から数か月にわたって行き来します。火星は動きの速い天体なので、機会が続いている時間は短く、気づいたときにはもう過ぎていた、ということも珍しくありません。約2年に2回しか巡らない角度なので、気づいた時点で小さく動いておく価値があります。
体感としては、朝の立ち上がりが少し軽くなる、自分で決めてよいのだという感覚が強まる、人の顔色をうかがう時間が減るなどの地味な変化から始まります。大きな高揚をともなわないため、見逃しやすいのもこの角度の特徴です。いつもなら「どうしよう」と三日悩むことを、半日で決められた、というくらいの違いとして現れる人が多いようです。
起こりやすい出来事・テーマ
仕事の場面では、先延ばしにしていた企画に手をつける、会議で自分の案を最初に口にする、後輩や同僚を巻き込んで小さなプロジェクトを立ち上げるなどの動きが出やすくなります。誰かに頼まれたからではなく、自分がやりたいから動くという動機がはっきりするため、この時期に始めたことは途中で投げ出しにくい傾向があります。自営の人なら、見積もりを出しそびれていた相手に連絡を入れる、新しいメニューや商品を試験的に出してみる、という形で現れることもあります。
プライベートでは、運動の習慣を再開する、気になっていた教室に申し込む、友人を旅行に誘ってみる、といった小さな決断が増えます。どれも一日あれば実行できる大きさで、ためらいがちな人にとっては、普段より気軽に最初の連絡を入れられる時期です。体を動かしたい欲求も高まりやすく、ジムの体験や朝のランニングなど、汗をかく行動が気持ちの切り替えにつながる人もいます。ただし、勢いで予定を詰め込みすぎると、数日後に疲れが出ることがあります。
一方で、この追い風に気づかないまま過ごすと、何も起きずに通り過ぎます。忙しさに追われて「また今度」と流してしまった場合、機会があったことさえ記憶に残らないことがあります。セクスタイルの火は小さいので、燃やし続けるには、自分で薪をくべる必要があります。誰かが背中を押してくれるのを待つ姿勢のままだと、機会は見えないまま終わりやすい配置です。
このエネルギーの活かし方
動き出すなら、小さく、期限をつけて始めるのが合っています。二週間だけ毎朝歩く、今週中に企画書の最初の一枚を書く、今月は週に一回だけ早起きして勉強する、というような形です。火星の通過は数日から1週間ほどなので、その間に最初の一回を済ませておくと、通過が終わったあとも続けやすくなります。大きな目標を掲げるより、最初の一回を実行することのほうが、この配置とは噛み合います。
この時期に出した意見や提案は、太陽の意志が乗っているぶん、周囲にも本気度が伝わりやすくなります。ただし、強く言い切るより、「自分はこうしたい」と主語を自分に置いて伝えるほうが、火星の勢いが対立に変わりにくくなります。誰かを説得して動かすより、自分が先に動いて見せるほうが、周りの人も協力しやすくなるでしょう。家族や職場の人に「今週はこれに取り組む」と一言だけ伝えておくと、予定の調整も頼みやすくなります。
逆行を挟んで同じ度数に何度か戻ってくる回は、動き出したことの続きを確かめる機会になります。始めた習慣や企画が自分の意志から出たものかどうかは、数週間続けてみるとわかります。続いているものは育て、負担になっているものは小さく畳んで、次の大きな配置までは身軽に過ごすのも一つの選び方です。