ジョイ(喜びの座)は、7つの古典天体それぞれが、ことのほか心地よく、いきいきと働くとされる特定のハウスのことです。古代ヘレニズム占星術に由来し、天体ごとに「自分の居場所」のように落ち着けるハウスがひとつずつ決まっています。天体が自分のジョイのハウスにあると、その天体らしさが自然に発揮されると読まれます。支配(ルーラーシップ)や高揚(イグザルテーション)とはまた別の、ハウスの側から見た心地よさのものさし、といえます。
天体ごとのジョイは、水星が第1、月が第3、金星が第5、火星が第6、太陽が第9、木星が第11、土星が第12のハウスとされます。たとえば、伝える星・水星はアセンダント(自分自身)の第1で、慈しみの金星は喜びをあらわす第5で、信仰や旅の太陽は神々のハウスとされる第9で喜ぶ、というように、天体の象徴とハウスの意味がやわらかく響き合う配置になっています。そのため古典では、ジョイのハウスにある天体は、その持ち味を素直に出しやすいと読まれてきました。
ジョイは、強さの順位表とは別の軸です。
アンギュラーハウス(角の家)は、チャートの四つの軸から始まるハウスで、天体の働きが表に出やすいとされますが、七つのジョイのうち角の家に入るのは水星の第1だけです。月の第3、火星の第6、太陽の第9、土星の第12はケーダント、金星の第5と木星の第11はサクシデントにあたります。角の家かどうかという見方と、ジョイかどうかという見方は、重なる場合もあれば重ならない場合もあります。
ジョイには、昼夜の区分(セクト)と重なる、美しい対称が見られます。昼の天体(太陽・木星・土星)は地平線より上のハウスで、夜の天体(月・金星・火星)は下のハウスで喜ぶ、という並びです。これは単なる暗記事項ではなく、天体とハウスを結ぶ象徴の織りものとして眺めると、いっそう味わい深く感じられます。もっとも、これは伝統的な象徴の読みであり、特定の出来事を断定するものではありません。
ホロスコープの上半分は第7ハウスから第12ハウス、下半分は第1ハウスから第6ハウスです。太陽・木星・土星のジョイである第9・第11・第12は上半分に、月・金星・火星のジョイである第3・第5・第6は下半分に、それぞれそろって入ります。たとえば夜の図で火星が第6ハウスにあれば、昼夜の面でもハウスの面でも、火星の居場所に合った配置と読めます。昼夜の見分け方は、
セクト(昼の図・夜の図)とはで確かめられます。
出生図でジョイを調べるときは、七つの天体がそれぞれ何番のハウスにいるかを書き出し、上の対応と見比べます。水星が第1ハウスにあれば、水星はジョイの位置にいます。第1ハウスは自分自身の入り口で、水星は伝える星ですから、自分の言葉で自分を説明する場面で水星らしさが素直に出やすい、と読みます。
反対に、ジョイの位置にいないからといって、その天体が弱いとか不調だとか決めるのは早計です。金星が第5ハウスにないチャートはいくらでもあります。ジョイは居心地を測る一つの見方にすぎず、サインでの強さを測る
ディグニティ(品位)とはや、ハウスの意味づけを流派ごとに整理した
ハウスの意味を流派別に比べるコラムとあわせて、総合的に見ていきます。ABA Studio、「
無料のホロスコープ作成」などで出した図なら、天体の記号とハウスの番号を見比べるだけで、七つのジョイを一つずつ確かめられます。