アルムテン(アラビア語に由来する言葉)は、ホロスコープのある一点(度数)において、最も多くの品位(ディグニティ)を持つ天体のことです。古典占星術では、その地点をめぐって複数の天体が「支配権」を争っており、いちばん強い権利を持つ天体を選び出したのがアルムテンです。いわば、その場所の「最有力の支配者」とされ、その度数の性質を読むときの中心的な手がかりになります。
アルムテンを決めるには、支配・高揚・三分・ターム・フェイスという5種類の品位に、それぞれ点数をつけます。伝統的に、支配=5点、高揚=4点、三分=3点、ターム=2点、フェイス=1点とされます。ある度数について、それぞれの品位をどの天体が受け持つかを調べ、天体ごとに点数を足し上げて、合計がいちばん高い天体をその地点のアルムテンとします。点数の重みは、ゆるぎなく安定した支配を上に、ささやかなフェイスを下に置く、という品位の強さの順番をそのまま映したものです。同点のときは流派によって扱いが分かれ、慎重に判断されます。
具体的に、ある度数のアルムテンを探す手順を追ってみます。まず、その度数が入っているサインの支配星に5点を渡し、そのサインで高揚する天体がいれば4点を渡します。次に、そのサインの三分を受け持つ天体に3点、その度数が属するタームの天体に2点、フェイスの天体に1点を足します。最後に天体ごとの合計を並べ、いちばん多い天体がアルムテンです。
点数を並べてみると、同じ天体が複数の品位を重ねて持っているとき、合計が大きく伸びることに気づきます。逆に、どの品位も別々の天体に割り振られていれば、点数が割れて、抜きん出た天体が見つかりにくくなります。
たとえば牡羊座のある度数なら、牡羊座の支配星である火星に5点、牡羊座で高揚する太陽に4点が入ります。牡羊座は火のサインなので、三分の3点は昼の図なら太陽、夜の図なら木星が受け持ちます(
トリプリシティ)。昼の図では、この時点で太陽が高揚と三分の点を重ね、支配星の火星を上回ります。あとはその度数のタームとフェイスの担当を足して、最終的な順位を決めます。支配と高揚の対応は
ディグニティの技法ページで確かめられます。
支配星とは、決まり方が違います。支配星はサインだけで決まりますが、アルムテンは度数まで見て、五種類の品位を総合した結果として選ばれます。同じ牡羊座のなかでも、度数が違えばタームやフェイスの担当が替わるので、点数の並びも変わります。支配星の考え方は
ルーラー(支配星)とはに、度数ごとに担当が替わるしくみは
タームにまとめています。
ひとつの度数だけでなく、チャート全体でいちばん品位の高い天体は「アルムテン・フィギュリス(チャートのアルムテン)」と呼ばれ、その人を象徴する重要な星のひとつとされます。太陽・月・アセンダントなど、要となる地点のアルムテンを集めて点数を比べ、全体の代表を選ぶ、という手順がとられました。ただし、これはあくまで象徴的な読みのための目印であり、特定の出来事を断定するものではありません。品位の全体像はコラム「ディグニティ(品位)」へ。用語「ディグニティ」もあわせてどうぞ。